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<月刊「狭山差別裁判」353号/2003年5月>

狭山40年を契機に原点にかえった総学習運動をおこそう!
学習・教宣活動を強化し、特別抗告審の闘いに勝利しよう!

 狭山事件がおきて四十年を迎えた。石川一雄さんにとっては二十四歳で逮捕され、無実の罪で獄中生活三十二年を余儀なくされ、六十四歳になったいまも、えん罪が晴れていない四十年である。わたしたち一人ひとりが四十年という歳月を自分の人生と重ねあわせてみれば、いかにそれが長い人権侵害であるか実感するであろう。
 わたしたちは、石川さんがいまも無実を叫びつ、づけ、見えない手錠が解かれる日が来ることを訴えていることを忘れてはならない。「狭山事件四十年」をきびしく問いかけ、一日も早く再審-無罪をかちとる決意をあらたにしたい。
 そのためにまず、わたしたち自身が、もう一度原点にかえって、狭山事件の総学習にとりくもう。いま弁護団はどんな新証拠を提出し、最高裁に何を訴えているのかを学習し、石川さんが無実であることを数々の証拠、事実にもとづいて広く訴えなければなならない。四十年の裁判闘争、弁護団の闘いによって裁判所の判断は後退し、追い詰めている。裁判所がいかに市民の常識的感覚とかけ離れたムチャクチャな認定をしているか、具体的に誤判の実態を暴いていくことが重要である。
 同時に、なぜえん罪がおきたのか、えん罪の背景にあった部落差別の実態、捜査や取り調べの問題を明らかにしていくことも必要だ。
 そして、四十年も経っていまだにえん罪が解決していない狭山事件の実態をとおして日本の司法の問題を見すえることも必要だ。なぜ三十年近くも事実調べがされないのか。なぜ大量の証拠がありながら十四年以上も検察庁は証拠開示しないのか。なぜそれで許されているのか。諸外国では証拠開示はどうなっているのか。あるいは、身近にえん罪はいまもおきていること、虚偽の自白をさせられるえん罪がいまも跡を絶っていないこと、そうした司法の現状の問題点を考え、人権擁護の確立・公正さと正義を実現するための司法改革を市民自身がすすめなければならないこと、とくに来年にかけてすすめられている司法制度改革において公正な証拠開示のルール化を実現する必要があること。こういったことを総合的に学習する必要がある。
 中央狭山闘争本部では、そのための総合的なパンフ 「冤罪・狭山事件――無実の叫び40年」も作成した。また、パネル用の写真セットもあらたに作成した。いまこそ、えん罪・狭山事件四十年をアピールし、市民に石川さん無実の真実、司法の正義実現を訴え、最高裁に再審を求める世論を広げなければならない。新パンフとパネル写真を活用し、各地で学習会をひらき、「狭山事件四十年展」をおこなうなど創意工夫をこらした取り組みを実施しよう。部落解放同盟、共闘、住民の会、宗教者などがいっしょになって、「狭山事件四十年を問う」一大キャンペーンを全国各地で展開しよう。それぞれの地域でマスコミヘの働きかけを強めよう。
 狭山弁護団は、ことし九月末に補充書を提出し、最高裁に棄却決定の取り消しと事実調べ・再審開始を求める。証拠開示もこの四月からあらたに担当となった検察官と折衝し、証拠リストの開示を強くせまる。秋の補充菩提出から特別抗告審がまる二年を迎える来年にかけてが最大のヤマ場になる。いまから来年にかけて最高裁を動かす大きなうねりをつくらねばならない。狭山事件四十年を節目に、総学習運動と証拠開示ルール化実現を柱に取り組みをすすめ、特別抗告審の闘いに勝利しょう!


月刊狭山差別裁判題字

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