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<月刊「狭山差別裁判」362号/2004年2月>

証拠リスト開示を導入し、警察・検察の証拠隠しを許さない
公正な証拠開示の法制化を実現しよう!

 一月二十九日に、政府の司法制度改革推進本部は、裁判員制度と刑事裁判の充実・迅速化についての骨格案を公表した。証拠開示ルール化については、推進本部事務局が作成した「たたき台」B案を採用した「裁判員制度・刑事検討会」の井上座長の試案(昨年十月公表)と一言一句同じである。すなわち、開示証拠を類型化し、弁護側が証拠を特定し、重要性を明らかにして開示請求した場合に、検察官が相当と認めるときに開示するというものである。いくつもの要件を弁護側に課したうえ、開示不開示の判断は一方的に検察官に委ねるというのでは、公正・公平なルールとはとうてい言えない。これで警察・検察による証拠隠しがおきないと政府は言うのであろうか。
 昨年十二月に推進本部がおこなった井上試案にたいする意見募集では、わたしたち部落解放同盟中央本部をはじめ、多くの団体、個人から、井上試案では公正・公平な証拠開示制度にはならず、国際社会にも通用しないという意見が寄せられた。とくに検察官手持ち証拠のリストを弁護側に交付すべきだという意見も多数寄せられている。ところが、こうした意見 (パブリックコメント)は骨格案にまったく反映されていない。このままでは骨格案が今国会に法案として提出されることになるが、このような証拠開示制度では、えん罪・誤判をなくすための司法改革にならず、国連の勧告にこたえることにならないばかりか、裁判員制度のもとでの充実・迅速な審理はおこなえなくなると言わねばならない。現実に日本ではこれまで警察や検察の証拠隠しによって重大なえん罪・誤判事件がおきたことを忘れてはならない。警察・検察による証拠隠しの危険性や疑いを残して公正・公平な裁判にはならないし、裁判員として参加するわれわれ市民は責任をもって審理をおこなうことはできない。「裁判員制度への国民の不安」が問題になっているが、不完全・不公平な証拠開示制度ではさらに国民に負担を強いることになる。また、弁護側が検察官手持ち証拠ヘアクセスすることを保障しなければ、審理は紛糾し、迅速な審理はおこないえないであろう。裁判員制度を導入し、充実・迅速な裁判をおこなうためにも公正な証拠開示制度の確立が不可欠なのである。しかし、この骨格案では決定的に不十分である。
 証拠開示制度のポイントは証拠リストの作成・弁護側への提示を制度化すること、検察による証拠開示は原則的に義務化し、警察・検察の証拠隠しにたいする何らかの制裁ないし処罰規定を設けることであろう。井上試案、骨格案で示された証拠開示制度の問題点、いまの日本の司法改革においてどのような証拠開示制度が必要なのか学習・教宣を強めよう。三月までには法案を閣議決定するとも言われており、拙速な審議ではなく充分な議論を尽くし、国際社会に通用する公正な証拠開示制度を実現するよう与野党の国会議員に早急に働きかける必要がある。
 弁護団は、山上弁護士の遺稿をうけついで補充書を完成させ、三月に最高裁に提出し、嚢却決定取り消し・事実調べを強くせまることにしている。補充書では、これまで提出した21通の筆跡鑑定の意義をまとめ、事実調べの必要性を求める。また、斎藤第五鑑定と補遺によって明らかにされた「2条線痕」「抹消文字」の重要性を指摘し、万年筆にかかわる自白を中、心に自白の不自然さと自白の全面的な再検討の必要性を指摘する。われわれも、斎藤第5鑑定の「2条線痕」の意義と自白のおかしさを広く訴え、最高裁に事実調べと再審を求めよう。


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