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<月刊「狭山差別裁判」368号/2004年8月>

狭山新100万人署名に全力でとりくもう!
公正な証拠開示制度確立にむけ継続した運動を

 弁護団はこれまで筆跡が違うとする21通の鑑定書、意見書や斎藤さんの一連の鑑定書によって、客観的有罪証拠の主軸とされた脅迫状が石川さんとはまったく結びつかないことを明らかにしてきた。また、犯人の残した封筒の「少時」が万年筆で書かれていること、「2条線痕・抹消文字」の存在は犯人が万年筆を犯行前から使用していることを決定づけ、石川さんと無縁であることを明らかにした。鎌田慧さんが新著「狭山事件――石川一雄、41年目の真実」で克明に明らかにしたように「字を書けない人は脅迫状を書かない」のであって、石川さんが犯人でありえないことは市民常識として明らかなのである。
 また、「犯行前の万年筆使用」という事実は、被害者の万年筆を犯行現場で奪って脅迫状・封筒を訂正したという寺尾判決の認定のおかしさ、万年筆を自宅へ持ち帰ったという自白の不自然さ、その不自然な自白通りに万年筆が石川さん宅のカモイから発見されたという捜査経過の疑問をさらに深めている。
 これだけの疑問がありながら、一度の事実調べもおこなわずに再審請求、異議申立を棄却した東京高裁の決定の誤りは明らかであろう。もはや事実調べは不可欠である。
 狭山弁護団は、きたる10月末に最高裁に補充書と新証拠を提出する。補充書で、自白の虚偽と部落差別の問題を中心に論じるとともに、斎藤一連鑑定を補強する別の鑑識課員による鑑定や国語能力の観点からのあらたな鑑定などの新証拠を提出し、事実調べ-再審開始をさらに最高裁にせまるのである。
 一方で、石川さんの無実とえん罪の真相・背景を克明なルポルタージュで明らかにした鎌田さんの本「41年目の真実」が多くの人に読まれ、関心が広がっている。この絶好のチャンスに弁護団の新証拠、補充書の積み重ねを結びつけ、いまこそ全力で新100万人署名にとりくむことが重要である。
 また、弁護団は最高検にあらためて証拠リストと弁護側の主張にかかわる個別の証拠の開示を求めていくことにしている。5月に国会で成立した刑訴法改正では、裁判所が検察官に開示命令をおこなうよう弁護側が申し立てることができる規定がもりこまれたが、先日も東京地裁がこの改正規定を先取りして検察庁に証拠開示命令をおこなっている。こうした動きもふまえて、弁護団は最高裁にたいしても証拠開示命令を強く求めていくことにしている。
 今回の刑事訴訟法改正では、弁護側の開示請求が条文化されたとはいえ、証拠開示の判断を検察官に委ねており、公正で公平な証拠開示を弁護側に十分保障したとはいえない。しかし、司法改革の議論はこれで終わったわけではなく、今後もえん罪を教訓にし、国連の再三にわたる勧告をふまえた証拠開示制度にするための検討、改正をすすめていくべきである。この秋の臨時国会から公正な証拠開示制度の確立にむけたさらなる検討・議論をおこすよう継続して運動をすすめ、働きかけていかなければならない。
 狭山事件の確定判決である寺尾判決から30年になろうとしている。だれもが納得する無実の証拠が数多く明らかにされているのに、この30年間事実調べはまったくおこなわれていない。証拠開示も事実調べもおこなわれず、なぜえん罪はいまも跡をたたないのか、誤判が正されない司法の現実をどう変えていくのか、これらを結びつけながら、新100万人署名を軸にとりくみをすすめよう!10月末までに100万署名を集めきろう!

新署名用紙はここからダウンロードできます(PDFファイル)


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