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<月刊「狭山差別裁判」370号/2004年10月>

学習・教宣活動と結びつけ新100万人署名運動を進めよう!
えん罪・誤判をなくすための司法改革を継続して求めよう!

 さる9月13日、弁護団は東京高検の加藤友朗検事と証拠開示の交渉をおこなった。弁護団は、今回の証拠開示請求では、5月に国会で成立した改正刑事訴訟法の趣旨とあらたに作られた証拠開示の規定をふまえて、弁護側の主張に関連する個別証拠の開示請求をおこなった。改正刑訴法の国会審議において、政府代表は、ある程度の証拠の特定をすれば弁護側は請求できると答弁しており、その趣旨からも、関係する証拠をふくめて調べて回答すべきである。これまでのように、一方的に「証拠は存在しない」と回答して終わりというような対応では「検察官による証拠開示の拡充」(刑訴法改正の趣旨)とはいえない。
 そもそも、検察官手持ち証拠の一覧(証拠リスト)を弁護側に開示すれば、それによって、スムーズに開示請求と協議を進めることができるのである。証拠があるかないかを争って時間がかかるより、よほど、迅速で公正なやりかたではないか。現に、イギリスでは証拠リストを弁護側に交付するルールが確立している。弁護団は、個別証拠の開示とあわせて、証拠リストの開示を求めたが、加藤検事は、個別証拠の開示は検討したうえで回答するとしたものの、証拠リストは開示できないと拒否した。今後の東京高検の回答によっては、今回の刑訴法改正が、真に「検察官による証拠開示の拡充」という趣旨にそったものかどうかが問われる。
 われわれは、えん罪・誤判をなくすための公正な証拠開示のルール化としては、今回の刑訴法改正では不十分であると批判してきた。すくなくとも、国際人権基準・国連勧告にのっとって、証拠リストを開示するルールが必要であり、そのために、さらに刑訴法改正、司法制度改革をめざして、継続して幅広い運動をすすめていかねばならない。
 10月末には狭山事件の確定判決となっている寺尾判決から30年を迎える。狭山弁護団は、10月29日に、補充書とともに斎藤保さんの一連の鑑定結果を補強する2人の元鑑識課員による鑑定書などの新証拠を最高裁に提出する。また、石川一雄さん自身も無実を訴え事実調べを求める上申書を最高裁に提出する。この特別抗告審で何としても、事実調べを実現するという弁護団と石川さんの強い決意を受けとめなければならない。
 30年間も事実調べがおこなわれていない不当・不公平な裁判をこれ以上許すことはできない、いまこそ公正・公平な裁判・事実調べをおこなうべきだという庭山弁護士や鎌田慧さんらの呼びかけで新畑万人署名が始まっている。今回の署名は、鎌田さんの本が多くの人に読まれ、マスコミがとりあげている状況のなかで、進められている。また、弁護団の努力、活動の積み重ねによって、斎藤さんの5通の鑑定が出され、さらにそれを補強する別の2人の元鑑識課員による新鑑定も出されようとしている。21通の筆跡鑑定書、3次元スキャナによる足跡鑑定など最新鋭の科学的な鑑定など寺尾判決の有罪認定、棄却決定を揺るがす新証拠が多数出されているもとで、事実調べを最高裁にせまる署名である。いまこそ狭山署名を集める絶好のチャンスなのである。そして、いま最高裁に、えん罪・誤判の事実を認めさせ、公正裁判をおこなわせることは、刑事手続きのさまざまな問題点を認めず事実調べも証拠開示もおこなってこなかった司法を変える闘いでもある。
 こうした新100万人署名の意義、重要性をふまえ、市民集会や街頭宣伝など学習・教宣活動と結びつけて、全力で取り組もう。

新署名用紙はここからダウンロードできます(PDFファイル)


月刊狭山差別裁判題字

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