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<月刊「狭山差別裁判」371号/2004年11月>

学習・教宣活動と結びつけ新100万人署名運動を進めよう!
えん罪・誤判をなくすための司法改革を継続して求めよう!

 10月31日、狭山弁護団は最高裁に新証拠、特別抗告申立補充吾などを提出した。提出された新証拠は、元福島県警鑑識課員の斎藤正勝・指紋鑑定士の鑑定書、元大阪府警科学捜査研究所で文書鑑定総括研究員であった奥田豊さんの鑑定書、理学博士・小畠邦規さんの意見書などで、いずれも、斎藤保・指紋鑑定士の一連鑑定結果と一致する結論が出されている。すなわち、脅迫状封筒の「少時」が万年筆で書かれていること、「少時」と「様」の違いは指紋検出薬のニンヒドリン・アセトン溶液の「かかり具合」では説明できないこと、石川さんの指紋が検出されていないことは素手で触れていないことを示すものであることなどである。とくに、脅迫状の封筒にボールペンと万年筆という2種類の筆記用具が使われているという鑑定結果が、元警察鑑識実務に従事していた3人の鑑定人から出されたことになり、このことはきわめて重大である。石川さんの自白は脅迫状・封筒はすべてボールペンで書いたことになっている。寺尾判決は封筒の宛名など訂正筒所が万年筆で書かれていることを認めざるをえず、それを石川さんがウソをついたとしてごまかした。しかし、寺尾判決の認定でも、「少時」はボールペンということになっており、犯行前に万年筆は存在しない。寺尾判決は、犯行現場で被害者の万年筆を奪って訂正したという自白にもない、自白とも矛盾する「推測」によって有罪の認定をおこなっているのだ。3人の元警察鑑識課員による「本件封筒には犯行前から万年筆が使われている」という鑑定結果は自白と食い違うだけでなく、寺尾判決の認定を完全に崩壊させるものである。最高裁は、もはやこれらの鑑定結果を無視することは許されない。
 この日、弁護団は石川一雄さん本人の上申書も最高裁に提出した。石川さんの上申書は、別件逮捕後の取り調べの状況、自白にいたる経緯、生い立ちと当時の読み書き能力、獄中で文字を取り戻すまでをつづったもので、棄却決定を取り消して高裁に差し戻し、事実調べをぜひおこなってほしいと最高裁に訴えている。上申書を読むと、あらためて、当時字を書けなかった石川さんが脅迫状を書いていないことが理解できるはずだ。また、刑事たちが脅しとともに巧妙に取り込みながらウソの自白へと追い込んでいった過程がわかる。
 石川さんが字を書けなかったということからも、3人の元鑑識課員らの新証拠からも、石川さんが脅迫状とまったく結びつかないことは明らかではないか。
 弁護団の新証拠・補充書や石川さんの上申書提出を受けて、中央集会がひらかれ、全国から寄せられた公正裁判-事実調べを求める署名43万283八分が最高裁に提出された。新100万人署名は10月末までにほぼ半分が達成された。実質2か月あまりでこれだけの署名が集まったことは、狭山事件の再審・公正な裁判を求める声が全国に広がっていることを示している。鎌田慧さんの渾身のルポ「狭山事件―41年目の真実」が広く読まれていることも大きな力だ。中央本部では、来年2月末を第2次集約として、100万達成を呼びかけている。石川さんの決意にこたえ、弁護団の新証拠の積み重ね、世論の広がりを結びつけ、いまこそ新100万人署名に全力でとりくもう。補充書・新証拠・上申書の学習と教宣活動を強化し、署名運動をすすめよう!

新署名用紙はここからダウンロードできます(PDFファイル)


月刊狭山差別裁判題字

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