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<月刊「狭山差別裁判」397号/2007年1月>

あいつぐ冤罪・誤判を教訓に司法改革を
捜査の可視化を実現し、再審の門を広げよ

 この間あいついで誤認逮捕、えん罪が明らかになっている。ことし1月には、富山県で強姦事件における誤認逮捕が明らかになった。誤認逮捕された男性は裁判所の間違った有罪判決によって2年あまりも服役を強いられ、仮出獄後に真犯人が判明したとして検察官が再審請求をおこなうという異例の事態となった。さらに、2月には、2003年の鹿児島県議選において公選法違反で起訴された被告12人全員に無罪判決が出された。無罪判決は被告の県議のアリバイを認め、買収会合じたいがなかったとしている。存在しなかった事件を警察がでっちあげたということである。同時に、6人の被告は人権を無視した取調べによってウソの自白を強いられていたことを意味する。さらに、1989年に佐賀県で女性3人が殺害された北方事件でも被告が犯行を認めた上申書は「(取調べに)違法性が高い」として福岡高裁は無罪判決をおこなっている。あるいは、大阪地裁所長襲撃事件でも犯人とされた成人男性2人に無罪判決が出されたのにひきつづき、犯人グループとされた少年にたいしても大阪高裁は、「自白は取調官の誘導がうかがわれ、信用性に疑いがある」として少年院送致にした家裁の決定を取り消して家裁へ審理を差し戻した。
  こうしたあいつぐえん罪の特徴は、いずれも、ウソの自白によって、えん罪・誤判がひきおこされているということである。いまも、虚偽の自白を誘導し、強要するような取調べがおこなわれているということである。さらに、富山のえん罪事件では、公判で犯行を認める自白をしていたとして、自白に頼って間違った有罪判決が出されている。裁判所は自白の不自然さや足跡の違い、目撃証言の問題など警察側のズサンな証拠を厳密に調べなかったといわねばならない。再審公判で、無実の男性は、取調べをおこなった警察官の証人尋問を要求したが、検察側は異議をとなえ富山地裁は請求を却下した。裁判所がえん罪被害者の受けた重大な人権侵害について真剣な反省を持たず、えん罪の原因、なぜ誤判をおかしたのか徹底して検証する姿勢がないことを示している。これでは裁判所は誤認逮捕し、人権侵害の取調べででっちあげをおこなった警察のたんなる擁護者である。富山地裁の姿勢はきびしく批判されなければならない。
  わたしたちが、あいつぐえん罪から教訓にしなければならないことは、まず、警察・検察の取調べの録音・録画をはじめとする捜査の可視化をすみやかに実施しなければならないということである。さらに、裁判所は自白の厳密なチェックをおこなう必要があるということである。そして、えん罪が跡を絶っていない現実がある以上、誤判救済のための再審の門を広げ、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則をふまえた審理を裁判所は徹底しなければならないということである。
  イギリスなどのように政府、政治家が率先して調査委員会をつくって、誤判原因や警察・検察の取り調べの問題、虚偽自白の問題と改革の課題について徹底した検証をおこなうべき重大な事態なのである。とくに裁判員制度を導入するというのであれば、これらの改革は急務である。
  さらに、わたしたちが考えねばならないことは、これらのえん罪事件の構造が狭山事件とまったく同じだということである。鹿児島県議選事件では、元被告の人たちは子どもや身内のことを出されて自白をせまられたというが、石川さんも同じように兄を逮捕すると脅され自白を強要されている。富山事件のように公判廷でも虚偽自白が推持されることがあるという点も狭山事件と共通する。わたしたちは、いまこそ、狭山事件における自白の不自然さや矛盾を具体的に説明し、この間の無罪判決と同じように、石川さんもウソの自白をさせられたえん罪であることを訴えよう。そして、新証拠の事実調べをおこない自白の信用性について厳密に再検討するよう東京高裁に求めたい。


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