<月刊「狭山差別裁判」407号/2007年11月>

弁護団が提出した新証拠によって確定判決はくずれている!
東京高裁・門野裁判長は事実調べ・再審を開始せよ!

 確定した有罪判決であっても新証拠と旧証拠を総合的に検討して合理的疑いがあれば再審を開始するというのが再審制度の趣旨である。狭山事件で確定判決となっているのは、1974年10月31日に東京高裁・寺尾正二裁判長がおこなった無期懲役判決である。狭山事件の再審請求ではこの寺尾判決に合理的な
疑いがあるかどうかということになる。寺尾判決は、石川さんを有罪とした根拠として、まず自白を離れて客観的に存在する状況証拠をあげている。すなわち、@脅迫状(脅迫状と石川さんの筆跡が一致するとした鑑定)A足跡(犯人の残した足跡が石川さんの家の地下足袋と一致するとした鑑定)B血液型(犯人の血液型が石川さんと同じB型とする鑑定)C手拭い・タオル(被害者を縛っていた手拭い、目隠しに使われたタオルを石川さんが入手できたこと)Dスコップ(発見されたスコップが石川さんがかつて働いていた養豚場のものであり、死体を埋めるのに使われたものであるという鑑定)EU証言(事件当夜、被害者の家をたずねてきた人物が石川さんだとする目撃証言)F犯人の声に関する証言(身代金を取りに来た犯人の声が石川さんの声と似ているとする被害者の姉らの証言)である。
  さらに、石川さんの自白が信用できる根拠として、自白通りに、鞄、万年筆、腕時計などが発見されたこと、そして、自白が客観的事実と矛盾しないことをあげている。
  しかし、自白を離れたという証拠は、実際には自白があって成り立つものばかりである。たとえば、判決は筆跡が一致するというが、当時の石川さんは漢字もあまり知らなかったが、家にあった漫画雑誌やテレビ番組のタイトルなどを見て書いたと自白を根拠に認定している。そのほかの証拠も自白がなければ、石川さんを犯行と結びつけるとはいえないものばかりである。目撃証言や声の識別が暗示や誘導によって間違いやすく、誤判原因となりやすい危険な証拠であることは近年の心理学研究やアメリカにおける誤判事例研究が示している。
  しかも、筆跡、足跡、スコップ付着土壌など認定の根拠になっているのは、いずれも警察の鑑定である。石川さんを別件で逮捕し長期勾留し自白をせまっていた警察と同じ捜査機関がおこなった鑑定の公正さ、公平さにも疑問がある。しかし、寺尾判決は、筆跡が同一とした鑑定について、「たぶんに鑑定人の経験と勘に頼るところがあり証明力に限界がある」としながら「そのことからただちに非科学的とはいえない」として有罪証拠にしている。また、脅迫状・封筒など犯人が触れた数々の証拠物のどれ一つとして石川さんの指紋が発見されていないという疑問に対して、「指紋がないからといって犯人でないとはいえない」として一蹴している。これが証拠を科学的に検討し市民常識にもとづいた判断といえるだろうか。
  裁判員裁判がはじまろうとする現在、寺尾判決の有罪の認定のおかしさ一つひとつについて見直すべきであろう。わたしたち一人ひとりが市民感覚から狭山事件の有罪判決を批判するとともに、東京高裁・門野裁判長に事実調べを求めていこう!


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