<月刊「狭山差別裁判」413号/2009年08月>
東京高検は東京高裁の勧告にしたがい
すみやかに証拠開示をおこなえ!
2009年12月16日の第2回三者協議で、東京高裁は東京高検の検察官に証拠開示の勧告をおこなった。
9月15日の三者協議で、東京高裁は検察官に証拠開示についての意見を10月末までに提出するよう求めた。東京高検の検察官は、10月30日付けで、殺害現場とされた雑木林の血痕検査報告書については 「存在しない」、その他の証拠については開示の必要性はなく、存否を明らかにする必要もないとする意見書を出していた。
これに対して、弁護団は、検察官意見書の不当性と弁護団が求める証拠開示の必要性を明らかにする反論書等を12月9日付けで提出し、開示勧告を強く求めていた。
今回の開示勧告は、弁護団の主張、石川さん本人の訴えや市民の声、各界の要請を受けとめたものであるとともに、再審請求における証拠開示が必要であること、取り調べメモや調書案などもふくめて幅広い証拠開示が必要であることを示したものと評価できる。
今回、開示勧告が出されたのは、殺害現場の血痕検査にかかわる捜査資料や事件当日「殺害現場」に隣接する畑で農作業をおこなっていた0さんに関する捜査書類、石川さんの筆跡に関する資料、石川さんの取り調べ状況の資料(取り調べメモ等)など8点である。
弁護団がこれまで提出してきた新証拠にも関連し、狭山事件の重要な争点に関わるものである。自白の信用性を判断するために、これらの証拠開示は不可欠である。
東京高検は、高裁の開示勧告におうじて、すみやかに証拠開示をおこなうべきである。
また、裁判所は、検察官が殺害現場のルミノール反応検査報告書は存在しないとしていることについては、関連する捜査資料の開示を勧告するとともに、存在しないとするならば合理的な説明をするよう求めた。
検察官は、殺害現場の血痕検査報告書について、ただ「存在しない」というだけでは許されない。検査そのものがおこなわれなかったというのか、報告書がなくなったというのか、また、現在、東京高検にないというだけでなく、狭山警察署や埼玉県警もふくめて調べたがないというのか、具体的に納得のいく説明をしなければならない。
そして、「殺害現場」を特定し、自白の核心部分を裏付けるものが存在しないということを検察官が主張しているという事実を東京高裁は見すえて、自白の信用性について徹底した事実調べをおこなうべきである。有罪判決に合理的疑いが生じているのか、再審を開始すべきかどうかを判断するうえで、この問題は避けてとおれないはずである。
東京高検がすみやかに勧告された証拠開示をおこなうよう強く求めていこう。
東京高裁が、ひきつづき証拠開示をすすめるとともに、事実調べをおこなうよう求めて世論を大きくしていこう!
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