<月刊「狭山差別裁判」415号/2009年10月>

さらなる証拠開示と事実調べを実現しよう!
取調べ可視化と証拠開示の法制度を実現しよう!

 東京高裁の開示勧告におうじて東京高検は36点の証拠を開示したが、3項目の証拠については「不見当(見当たらない)」として開示していない。弁護団は、東京高検の回答にたいして、今後、反論の意見書を東京高裁に提出する予定である。検察官が開示していないのは、殺害現場とされる雑木林についての血痕検査(ルミノール反応検査)報告書ないしは関連する捜査書類、当時の実況見分で雑木林を撮影した8ミリフィルムである。
  これは重大である。かりに東京高検のいうように、殺害現場の血痕検査にかかわる捜査書類がないとすれば、自白の犯行現場は、なにも裏付けがないということを検察官が認めたことになるからだ。石川さんの自白は大きく揺らぐことになる。「犯行現場」の自白の疑問は、被害者との出会いから雑木林まで連行したという自白の疑わしさをさらに深める。そもそも、活発な高校生が見知らぬ男についていったという自白が不自然であるし、白昼であるにもかかわらず、目撃者はだれもいない。雑木林内で被害者の万年筆を使って脅迫状を訂正したという自白の疑問も明らかになっている。さらに、殺害後、死体を腕にかかえて、200メートルも離れた芋穴まで運び、逆さづりにして隠したという自白のありえないことが科学的に指摘されていることとあわせて考えれば、もはや自白の虚偽は明らかというべきであろう。弁護団の新証拠を総合的に評価すれば、狭山事件で確定判決となっている2審・東京高裁の有罪判決の認定はドミノ式にくずれていく。東京高裁の岡田雄一裁判長は、今後の三者協議で、さらに証拠開示を勧告するとともに、被害者の悲鳴はなかったという0証言などの事実調べをおこない、再審を開始すべきである。
  足利事件では、弁護団が求めていたDNA鑑定のやり直しを 東京高裁が決定し、実施したことで、菅家さんの無実が判明した。布川事件では、「不見当」といっていた毛髪鑑定などが開示され、再審開始の大きなカギとなった。
  氷見、志布志、足利、布川とつづいたえん罪事件の無罪判決、再審開始決定は、取調べの全過程の可視化(録画・録音)とともに、検察官による証拠開示、裁判所による事実調べが、えん罪の防止、誤った裁判から無実の人を救済するために必要不可欠であることを示している。
  しかし、いずれも日本では、法制度として確立していない。一方、国連からは、自由権規約委員会、拷問禁止委員会等で日本の人権問題としてとりあげられ、捜査の可視化、証拠開示の保障がくりかえし勧告されている。
  すでに民主党は、取調べ全過程の録画と証拠リスト開示を義務とする法律案を参議院で2度提出し、可決されているのだ。政権交代のもとで取調べ可視化、証拠開示を保障する法制度を実現しよう!参議院選挙をとおして可視化、証拠開示、えん罪防止をすすめよう!


月刊狭山差別裁判題字 

月刊「狭山差別裁判」の購読の申し込み先
狭山中央闘争本部 東京都中央区入船1−7−1 03-6280-3360 fax 03-3551-6500
頒価 1部 300円