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<月刊「狭山差別裁判」417号/2009年12月>

開示勧告の意義を確認し、検察官の不当な姿勢許さず、
徹底した証拠開示、事実調べを実現しよう!

 2009年12月に東京高裁は東京高検にたいして開示を勧告した8項目の証拠は、いずれも狭山事件の重要な争点、とりわけ自白の信用性にかかわる証拠である。2010年5月13日、東京高検は、このうち5項目にかかわって36点の証拠を開示したが、「殺害現場とされる雑木林の血痕検査にかかわる捜査報告書等一切」「雑木林を撮影した8ミリフィルム」「未開示の死体写真」については「不見当」として開示していない。
  死体発見現場近くの雑木林内に連行して殺害したという自白は逮捕後一カ月たった6月23日に始まり、その後は変転してない。自白のなかで死体を一時隠したという芋穴については、7月4日に警察がおこなった実況見分の際にルミノール反応検査がおこなわれ、反応がなかったという鑑識課員の報告書がすでに開示されている。こうした経緯からすれば、第1現場というべき、殺害現場の血痕検査がおこなわれていないとは考えられない。もし、そのような報告書がないとすれば自白の核心の裏付けがないことを意味する。また、7月4日の実況見分では検察官立ち会いのもとに8ミリで撮影がおこなわれたと調書に書かれているし、翌日の新聞各紙も報じている。殺害現場を撮影した8ミリフィルムもただ見当たらないではすまない。
  また、石川さんの取調べの際に警察官らが作成した取調べメモ、供述調書案などの開示勧告にたいしては、それらのものは開示せず、取調べについて警察官らが述べた調書、報告書や取調べ録音テープを開示した。
  しかし、弁護団が開示を求めた趣旨は、石川さんの自白が真実かどうかを判断するために、自白にいたる取調べの状況、自白内容が作られる過程の取調べの状況について、事実調べをする必要があるからであろう。東京高裁もまた再審開始の理由があるかどうかの判断をするために、これらの証拠の開示が必要と考えたからこそ、開示を勧告したというべきであろう。
  検察官が出してきた取調べ録音テープは、本件の自白後に、取調べの一部を録音したものである。とうてい取調べ状況の全貌をあきらかにしたものとはいえない。石川さんは、1963年5月23日に別件で逮捕され、すぐに女子高校生殺害の取調べを受けたが、当初一貫して否認している。警察、検察は勾留の期限が近づいた6月17日にいったん保釈し、留置場から出たところで、警察署内で再逮捕し、今度は川越警察署の分室に一人だけ勾留、取調べをさらに続けている。再逮捕後、弁護士との接見を制限し、6月21日から25日まではまったく接見を禁止している。その間に犯行を認める自白がはじまっているのだ。取調べでは終始、手錠をかけたままだったという。このような自白の経過を見れば、調べるべきは、取調べの一部録音テープではなく、むしろ自白以前の一カ月に及ぶ取調べの状況であり、取調べメモや調書案など自白調書作成前の資料である。
  東京高裁は、東京高検の検察官にたいして、さらに開示を勧告し、十分な説明を求めるべきである。
  徹底した証拠開示と事実調べを求めよう!


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