<月刊「狭山差別裁判」419号/2010年02月>

東京高裁は47年目に明らかになった筆跡資料
と筆跡鑑定の事実調べをおこなうべきだ!

 狭山弁護団は、2010年12月14日に、東京高裁に新証拠を提出した。これは、2010年5月に東京高検から証拠開示された筆跡資料とそれにもとづく筆跡鑑定書2通などである。東京高裁の開示勧告を受けて東京高検は36点の証拠を開示したが、その中に事件当時の石川さんの筆跡資料がふくまれていた。1963年5月23日の逮捕当日に石川さんが書かされた上申書や同年7月9日の起訴当日に書かれた狭山警察署長あての領収書などである。弁護団は、これらの筆跡資料をもとに、筆跡鑑定を依頼し、日本語学者である遠藤織枝・元文教大学教授による第2鑑定、そして、多くの筆跡鑑定の経験をもつ魚住和晃・神戸大学名誉教授による第2鑑定があらたに作成された。遠藤第2鑑定、魚住第2鑑定は開示された5月23日付け上申書と脅迫状は同じ人が書いたものではないと結論づけている。
  鑑定資料となった石川さんの筆跡は47年目にしてはじめて明らかになったものである。しかも、狭山事件の脅迫状は、4月末に書かれたとされており、近い時期に書かれたこれらの石川さんの筆跡は、比較する資料として重要である。
  これまで弁護団は、1963年5月21目付け上申書や7月2日付けの脅迫状写し、あるいは供述調書の図面に書かれた石川さんの筆跡などを資料とした筆跡鑑定を第3次再審請求だけでも6通も提出している。東京高裁は、これらの筆跡鑑定と、47年目に明らかになった今回の筆跡資料とそれにもとづく鑑定書を総合的に評価し、筆跡を同一とした有罪判決に合理的疑いが生じていないか十分検討しなければならないはずだ。遠藤鑑定人、魚住鑑定人らの鑑定人尋問などの事実調べをすみやかにおこなうべきである。
  また、弁護団は、東京高裁の開示勧告にたいする検察官の回答にたいして、3項目を不見当(見たらない)とする理由の十分な説明と関連する証拠の開示を求めていたが、2010年12月の第5回三者協議でも、3項目については不見当とし、犯行現場とされた雑木林の血痕検査は検査じたいがおこなわれなかった可能性が高いという回答をくりかえしている。しかし、雑木林内に連行して殺害したという石川さんの自白は逮捕後1カ月を経た6月23日に始まっている。にもかかわらず、これまで明らかになっている犯行現場の実況見分調書は事件後2か月以上経った7月4日と6日付けのものである。この日まで警察や検察は犯行現場の裏付け捜査を何もやらなかったというのであろうか。1998年当時の東京高検の担当検察官は、手持ち証拠は、積み上げれば2〜3メートルあるといっていた。これらの手持ち証拠を隠しつづけることは再審の理念にも正義にも反する。検察官は弁護側の要求に真撃にこたえるべきである。
  今回の筆跡資料のように新証拠になる可能性のある重要な証拠がまだ隠されていると言わねばならない。東京高裁が、さらなる証拠開示勧告をおこなうよう強く求めたい。


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