<月刊「狭山差別裁判」422号/2010年05月>

証拠開示によって新証拠が発見されている!
公正な証拠開示の法制化をいまこそ求めよう!

 狭山弁護団は、この間、2010年に検察官から開示された証拠にもとづく新証拠をつぎつぎと提出している。ひとつは開示された1963年5月23日付けの石川さんの上申書にもとづく筆跡鑑定である。この石川さんの当時の筆跡資料は衝撃的である。これまで警察などが鑑定資料にしてきた逮捕直前の上申書と同様に、漢字の誤字があり、句読点も改行もなく、筆圧が高く最後を止めて書くなど、当時の石川さんが非識字の状態にあったことを示している。脅迫状との筆跡の違いは明らかだ。
  さらに弁護団は、開示された当時の捜査報告書と取調べ録音テープの分析をおこない、石川さんの自白が誘導による虚偽自白であり、自白にもとづいて鞄が発見されたとする有罪確定判決が誤りであるとする新証拠を提出した。確定判決は、石川さんの自白通りに鞄が発見されたから自白は信用できるとして有罪証拠としている。しかし、その根拠となった自白調書と警察官らが鞄を探しにいったもとになったとされていた図面とは別の図面が捜査報告書とともに開示されたのである。有罪判決の根拠となった自白調書と図面が誘導によって作られたものであり、「鞄発見」が証拠ねつ造であることを示す新証拠である。
  このように、47年ぶりに開示された筆跡資料や捜査報告書、取調べ録音テープによって、石川さんの無実を示す新事実が明らかになっているのである。裁判所の事実調べは不可欠だ。
  また、弁護団は取調べ録音テープ等の分析にもとづいて、万年筆を置いた場所を書いた図面が存在するはずであることを指摘し、証拠開示を求めている。開示証拠によって、ほかに隠された証拠が存在することが浮かび上がってきたのである。
  狭山事件の再審請求において、今後も証拠開示がいかに重要かを確認しなければならない。証拠開示が冤罪の真相を明らかにすることは、再審判決を間近にひかえる布川事件や無罪が確定した氷見事件、足利事件などの教訓からも明らかだ。冤罪を防止し、誤判から無実の人を救済するために、取調べの全過程の録画・録音とともに公正な証拠開示制度が必要である。
  しかし、現行制度では、証拠開示をするかどうかの判断は一方当事者である検察官にゆだねられている。国連の自由権規約委員会が指摘するように、検察官は自分たちに不利と判断した証拠を開示しようとしない。現に狭山事件では47年も当時の筆跡資料などの重要な証拠を隠し続けていた。布川事件でも、再審請求人の無実を示す事件当時の毛髪鑑定や目撃証言などを30年以上も検察官は隠していた。厚労省元局長の冤罪事件では、検察官が虚偽自白を強要し、それにあわせて押収した手持ち証拠の改ざんをおこなっていた。諸外国の証拠開示制度がそうであるように、証拠開示を検察官に義務づける法制度が必要なのである。村木さん事件を契機に設置された法相の諮問機関「検察の在り方検討会議」でも検察官の職務にあたっての基本規程に盛り込むべき事項として「被告人の利益に十分配慮し…誠実に証拠を開示するべきである」と提言されている。
  いまこそ、公正・公平な証拠開示の法制化を求めていこう。


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