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<月刊「狭山差別裁判」423号/2010年06月>

東京高検は証拠開示をおこなえ!
東京高裁は0さんの証人尋問など事実調べをおこなえ!

 2011年3月に開かれた第6回三者協議で、東京高検は犯行現場のルミノール反応検査にかかわって、検察官が事件当時の埼玉県警鑑識課員に聞き取りをおこなった報告書3通を開示した。検察官は、あわせて提出した意見書において、「犯行現場におけるルミノール反応検査は実施されなかった可能性がある」としているが、開示された東京高検の検察官の報告書やメモ3通のうち2通においては、元鑑識課員は、「松の木と周辺についてルミノール反応検査をおこなった」「松林=雑木林のルミノール反応検査をおこなったが陰性だった(血痕反応はなかった)」などと述べている。1985年に国会で当時の法務省刑事局長が「ルミノール反応検査はある」と答弁し問題となった直後に検察官が作成した報告書では、元鑑識課員は殺害現場のルミノール反応検査はやらなかったと言っているとされているが、この報告書には後の検察官によるものと見られるメモ書きがあり、「のちに弁護団にはやったと答えている」「検察官にもやった、陰性だったと答えた」と走り書きされているのである。
  元鑑識課員は1984年の弁護団の最初の面会以来、2007年の面会でも、自白で死体を隠したという芋穴と、被害者を縛り、殺害したという雑木林でもルミノール反応検査をおこなったと述べていた。つまり、今回、証拠開示された検察官報告書とあわせると、松の木ないし雑木林においてルミノール反応検査がおこなわれたことは間違いないというべきである。
  そもそも、石川さんの自白では、6月23日から始まる単独犯行自白において殺害現場は一貫して、この4本杉のある雑木林となっており、そこへ連れ込んで松の木にいったん縛り、脅迫状を届けに行こうとしたあと、ほどいて縛りなおして杉の木のところで押し倒したら悲鳴をあげたので殺害したということになっている。松の木と杉の木は自白で一連の犯行現場であり、小道をはさんで約6~7メートルしか離れていない場所である。松の木だけ血痕を調べ、杉の木はやらなかったということも常識的に考えられない。捜査当局は犯行現場という自白の核心部分の裏付けをとろうとしたはずである。
  こうした現場鑑識については犯罪捜査規範にもとづき捜査指揮簿への記載や指示文書、回答文書がかならずあり、また捜査本部の日誌に記載されるはずである。弁護団は、雑木林における血痕検査の実施にかかわるこうした指示文書も含めた捜査書類の開示を求める反論書を提出した。
  東京高検はこれら関連する証拠を隠さず開示すべきである。
  犯行現場を裏付ける証拠は自白以外に何もない。弁護団は第3次再審請求で、この雑木林の隣の畑で事件当日、農作業をしていた0さんの証言を新証拠として提出している。0さんは当日、作業中に悲鳴も聞いていないし、人も見なかったとはっきりと証言している。弁護団は今回の意見書で、犯行現場の自白の信用性を判断するために、0さんの証人尋問も求めた。
  さる5月に東京高裁第4刑事部の裁判長が交代した。あらたに就任した小川正持裁判長に、徹底した証拠開示と0さんの証人尋問、事実調べを求めていこう!
  公正な証拠開示の法制化を求める運動を大きくしよう!


月刊狭山差別裁判題字

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