<月刊「狭山差別裁判」429号/2010年12月>
東京高検は証拠開示請求に誠実に応えよ!
公正な証拠開示の法制化を求める署名運動をすすめよう!
2011年12月14日に、東京高裁第4刑事部の小川裁判長、東京高検の担当検察官と狭山弁護団の弁護人が出席し、狭山事件の第9回三者協議がおこなわれた。
前回の三者協議で、検察官はスコップの指紋検査報告書など弁護団が求めた証拠について 「不見当」と回答したが、関連する付着物の鑑定にかかわる証拠の存在は認めた。
また、弁護団が8月9日付けの意見書で開示を求めた鞄、万年筆、腕時計の3物証にかかわる証拠の開示について、小川裁判長は検察官に検討を促した。とくに、万年筆など3物証は、石川さんの自白通りに発見されたとして、自白が信用でき有罪の根拠とされているものであり、これらに関わる証拠開示は重要であり、弁護団が開示を求めるのは当然である。弁護団は、10月4日付けで開示勧告申立書を提出し、3物証についての取調べメモ等や、3物証の捜索、発見に関わる捜査報告書や供述調書、被害者の所持品と同一かどうかの確認などに関わる証拠の開示を求めていた。また、殺害現場を特定するための捜査書類一切や開示された取調べ録音テープの分析から取調べの際に書かれたが供述調書に添付されなかった万年筆の隠し場所の図面の開示も求めた。
第9回三者協議で、検察官は、3物証に関わる捜査報告書や供述調書およびスコップ付着物に関する証拠を14点開示した。
しかし、殺害現場についての自白を裏付け、特定するための捜査書類や万年筆の隠し場所の図面などは「不見当」と回答した。殺害現場を特定する捜査や犯行現場という自白の核心を裏付ける捜査をまったくやらなかったとは考えにくい。また、万年筆、鞄、腕時計は目白通り「発見」された「秘密の暴露」だということになっているが、自白がなされた密室の取調べや発見にいたる警察の捜査経過についての証拠も十分開示されていない。「不見当」だけでは疑問はますます強くなるばかりだ。弁護団の求める証拠開示はまだ十分に実現していない。
次回の第10回三者協議は2012年4月に予定されている。弁護団はこの間開示された上申書や録音テープに付された番号を整理し、未開示の証拠物が存在するのではないかと指摘し、証拠開示を求めるとともにこれらの証拠の内容を明らかにしてほしいと求めている。これは重要かつ必要である。1998年に東京高検の検察官は手持ち証拠は2~3メートルあると答えていたのである。まだ多くの証拠が東京高検に眠っている言わざるをえない。証拠の番号が飛んでいるということは何らかの証拠が存在することを意味しており、検察官が「不見当」(見当たらない)という回答だけで終わらせることは許されないはずだ。
弁護団は、検察官の意見書に対する反論の意見書を提出し、徹底した証拠開示を求めている。東京高裁は証拠開示を積極的に促し、東京高検は誠実、公正に証拠開示請求に応えるべきだ。
狭山弁護団が求める証拠開示を実現するためにも、ほかの再審請求の証拠開示をすすめるためにも、そして冤罪をくりかえさないためにも、公正な証拠開示の法制化が必要である。取調べ可視化と証拠開示の法制化を求める署名運動に全力で取り組み、3月末までに100万達成しよう!きたる通常国会で冤罪をなくす司法改革を求めていこう。
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