<月刊「狭山差別裁判」433号/2012年4月>

未開示の証拠物・筆跡資料があることは明らかだ!
東京高裁は証拠開示勧告と事実調べをおこなうべきだ

  狭山第3次再審請求の第11回三者協議が10月に開かれる。4月におこなわれた第10回三者協議では、東京高検が押収した証拠物のうち、番号が抜けているものの内容を明らかにするよう求めたが、検察官は証拠リストを開示することと同じであり、全証拠開示につながるとして応じなかった。弁護団は、指宿信・成城大学教授の証拠標目開示の法的根拠についての鑑定意見書を提出し、存在が明らかな筆跡に関する証拠物の開示を強く求めることにしている。
  裁判所が勧告した「犯行現場」 の血痕検査報告書や「犯行現場」を撮影した8ミリフィルムについて検察官は「不見当(見当たらない)」と回答し、弁護団がさらに「犯行現場」を特定するためにおこなわれた捜査書類や、殺害現場の自白を裏付けるための捜査書類の開示を求めたのに対しても「不見当」と回答している。自白の核心である「犯行現場」に関わる捜査資料や犯人の残した物証である脅迫状に関わる証拠物などの証拠開示は不可欠である。また、検察官は、スコップの指紋検査報告書や万年筆の置いた場所についての自白図面など重要な証拠はことごとく「不見当」としている。捜査資料や証拠物が多数、検察官の手元に存在することは明らかだ。検察官は「不見当」というだけでなく、どのような手持ち証拠があるのか明らかにするべきである。事件発生から半世紀近く経過し、検察官はなにゆえ証拠開示できないのか。市民常識として検察官の証拠不開示の姿勢は納得のいくものではない。
  東京高検の検察官は証拠開示に十分応じない一方で、弁護側の提出した鑑定書に反論する意見書を提出してきている。3月には、筆跡についての科学警察研究所の技官による意見書、石山G夫・帝京大学名誉教授による殺害方法や死体に関する鑑定意見書、5月には、科学警察研究所の技官によるスコップ土壌に関する意見書をそれぞれ東京高裁に提出した。弁護団は、これら検察官提出の意見書、鑑定書に対して、専門家の意見も聞いて、8月末に筆跡、スコップ土壌についての反論を、年末には、殺害方法、死体についての検察官意見に対する反論の意見書を提出する。また、弁護団は、筆跡、自白、取調べテープについての新証拠を来年春にかけて提出していくことにしている。
  来年にはこれら新証拠、補充書の提出を受けて、東京高裁が、事実調べをおこなうかどうかの判断をする段階に入ると言わねばならない。狭山事件の再審請求では、25年もまったく事実調べがおこなわれていない。弁護側、検察側の双方から鑑定書が出されているのであるから、鑑定人尋問などの事実調べは不可欠である。東京高裁第4刑事部の小川正持裁判長は、「東電社員殺人事件」で、裁判所が勧告して検察官が開示した当初の現場遺留物のDNA鑑定を促し、その結果、ゴビンダさんの無実が判明し、再審開始とゴビンダさんの釈放を決定した。検察官が持つ証拠の開示と科学的な鑑定などの事実調べによって誤判救済が実現した教訓をふまえ、狭山事件においても徹底した証拠開示と事実調べ、鑑定人尋問をおこなうべきである。


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