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<月刊「狭山差別裁判」435号/2012年6月>

東京高検は欠番の証拠物の内容を明らかにせよ!
すみやかに証拠のリストを弁護側に提示すべきだ

  開示証拠を弁護団が整理するなかで、東京高検が領置した証拠物に付けた番号に欠番(番号が飛んでいるもの)があることがわかり、4月におこなわれた第10回三者協議で、弁護団はその内容を明らかにするよう求めた。しかし、証拠物の内容を明らかにすることは証拠リストを開示することと同じであり、全証拠開示につながるとして検察官は応じなかった。弁護団は、指宿信・成城大学教授の証拠標目の開示がおこなわれるべきだとする鑑定意見書を8月に東京高裁に提出し、存在が明らかな筆跡に関する証拠物の開示、証拠物の標目 (リスト) の提示を強く求めていた。
 検察官は、10月3日におこなわれた第11回三者協議で、事件直後の捜査報告書1通とスコップ関係の証拠3点を開示したものの、証拠物の標目の開示には応じず、目撃証言や3物証(万年筆、鞄、腕時計) にかかわって弁護団が求めた証拠の開示について、証拠開示の必要はないとする意見書を提出した。弁護団は高裁の開示勧告以来の積み重ねをふまえて反論し、裁判所も証拠開示について柔軟に対応するよう検察官に促した。
 もとより、検察官が保管する証拠は検察の独占物ではないはずだ。弁護団は、再審請求の審理において証拠開示の必要性や存在する根l拠を具体的にしめして開示を求めているのであり、検察官は、すみやかに証拠開示に応じるべきである。とりわけ、欠番となっている証拠物は存在することが明らかであるし、とくに、その前後の証拠物から考えて、筆跡関係の証拠物がまだ検察官の手持ち証拠物の中にあることも明白である。検察官はすみやかに証拠物の標目(リスト) を弁護側に提示すべきである。
 弁護団は、三者協議に先立つ9月26日、3物証のひとつである腕時計について、重要な新証拠を東京高裁に提出した。提出されたのは、時計修理歴44年という専門家鑑定人による証拠の腕時計のバンド穴の使用状況についての報告書などある。この報告書は、高裁に保管されている証拠の時計を詳細に観察し、被害者や被害者の姉が使用するはずのない2番目のバンド穴の使用頻度が高いことを明らかにしたものだ。自白にもとづいて発見されたという腕時計が被害者が使用していたものではない疑いを示す重大な新事実である。また、昨年12月に証拠開示された時計の捜索報告書も提出された。これは、時計を捨てたという自白にもとづいておこなわれた警察による捜索の報告書で、後に時計が発見される場所を探していることが明らかであり、時計の発見がいわゆる「秘密の暴露」にはあたらないと弁護側は主張している。狭山事件では、自白通りに被害者の所持品が発見されたとして、鞄、腕時計、万年筆が有罪証拠となっている。東京高裁は、事実調べと証拠開示をすすめ自白の信用性を再検討すべきである。
 今後、検察官から証拠開示や新証拠に対する意見が出され、1月につぎの三者協議がおこなわれる。証拠開示と事実調べを求める世論をさらに大きくしよう!


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