<月刊「狭山差別裁判」439号/2012年10月>

検察官は積極的に証拠開示におうじよ
徹底した証拠開示と事実調べが必要だ

  2013年5月8日に13回目の三者協議がおこなわれた。これに先立って弁護団は2通の証拠開示勧告申立書を5月2日付けで東京高裁に提出した。1つは、犯行に使われた手拭いの捜査に関わる証拠の開示を求めるものである。手拭いの捜査に関わる証拠の開示は2012年10月に弁護団が求め、2013年1月の第12回三者協議でそのうちいくつかが開示された。この開示証拠をふまえて、さらに開示を求めたのに対して、検察官は3月27日付けでさらに26点の証拠を開示。この開示された証拠を分析し、今回さらに捜査書類の開示を求めたのである。被害者を縛るのに使われた手拭いについて事件直後から警察は捜査をすすめており、初期の捜査書類がじょじょに開示された。石川さんの家からは手拭いがすぐに警察に提出されており、もともと犯行に使われた手拭いは石川さんの家のものではないことが明らかだが、提出した手拭いは義兄もしくは隣家から都合をつけたという筋書きを検察官が主張し、それを鵜呑みにして確定判決は有罪証拠とした。有罪判決の認定にはもともと無理がある。開示証拠によって捜査と有罪判決に疑問が浮びあがっており、徹底した証拠開示が必要だ。
  もう一つの証拠開示の申し立ては、確定判決が「秘密の暴露」すなわち犯人しか知らない事実が自白によって判明したと認定した自白の内容に関わる証拠の開示を求めたものである。石川さんの自白には、脅迫状を届けた際に、被害者宅の隣に車が停まっているのに気づいたとなっており、実際に車が停車していた事実があり、これは自白によってはじめてわかった、つまり、犯人しか知らない 「秘密の暴露」にあたるとして、確定判決は有罪証拠のひとつにあげている。弁護団は、この車の運行や停車に関する捜査書類の開示を求め、1月の三者協議で、その一部が開示された。この開示証拠の分析にもとづいて今回さらに証拠開示を求めたのである。
  「秘密の暴露」というためには、自白と一致する時間、場所に車が停車していた事実があったことが前提である。
  また、捜査側が石川さんの自白まで、この事実を知らなかったということも要件である。これを確認し、有罪判決に疑問がないかどうかを検討するためには、当時、警察がおこなった捜査の資料の開示が必要であることは明白だ。被害者宅には5月1日の夜に脅迫状が犯人によって届けられているのだから、事件当夜の周辺の車や人の動きは事件直後から徹底して警察は調べているはずだ。捜査側が既知のことであれば自白の誘導さえ疑われる。
  弁護団はいま、手拭い捜査関係、秘密の暴露関係、検察官が付けた番号の欠番となっている証拠物などの証拠開示を強く求めている。
  5月8日の三者協議では、あらたに就任した河合裁判長も、これら証拠開示について検察官に柔軟な対応を求めたという。裁判所の勧告をふまえ、すみやかに証拠開示をおこなうよう検察官に強く求めたい。


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