<月刊「狭山差別裁判」441号/2012年12月>

証拠開示に応じない検察官の姿勢は不当だ!
証拠物の開示や「秘密の暴露」に関わる証拠開示に速やかに応じるべきだ

  2012年11月に再審無罪が確定した「東電女性社員殺害事件」では、裁判所の勧告によって現場遺留物が開示されDNA鑑定を検察がおこなったところ、真犯人が浮びあがり、再審開始、無罪判決の大きな要因となったことは記憶に新しい。2011年に裁判所が検察官にDNA鑑定を求め、複数の遺留物から同じDNA型で、血液型がO型の真犯人と考えられる人物]が浮びあがった。ゴビンダさんはB型であり、これで再審開始と弁護団は求めたが、検察官は、他にも遺体付着物などがまだあり、そのDNA鑑定もおこないたいと主張したのである。その後も検察官は遺留物をつぎつぎと後出ししてDNA鑑定を求めたが、結局、どの遺留物もO型で真犯人]のDNA型しか検出されなかった。事件当時、捜査で集められた証拠物のすべてを検察官は知っているが、弁護側はどのような証拠が検察官の手元にあるのかさえわからない。このような検察官の証拠の後出しを許すような証拠開示の手続きの現状が、不公平で不公正であることは明らかだ。検察官手持ち証拠の標目を弁護側に提示する手続きを確立することが必要だろう。
  狭山事件でも、弁護団はこの間、「秘密の暴露」に関わる証拠、手拭いに関する捜査書類、未開示の証拠物などの証拠開示を求めているが、検察官は「必要性がない」などとして十分に応じようとしていない。
  とくに「東電女性社員殺害事件」の教訓からしても、未開示の証拠物を検察官はすみやかに開示すべきである。
  弁護団が、開示された石川さんの逮捕当日の上申書などの証拠物に領置した検察官が付けた番号を整理したところ、番号が抜けており、末開示の証拠物が存在することが明らかになった。弁護団は、くりかえし未開示の証拠物の開示を求め、まず、これら証拠物の標目を提示すべきだと申し立てた。この間の三者協議で、東京高裁も検察官に対して柔軟な対応を促している。
  とくに、番号が抜けている前後の証拠物から、未開示の筆跡資料が存在することが明らかとなっている。また、狭山事件では、事件直後に大がかりな山狩り捜査がおこなわれ、事件に関係すると考えられた証拠物が多数収集されたと考えられる。弁護団は、筆跡資料、犯行現場等で発見・収集された証拠物、被害者の所持品関係の証拠物等、具体的に特定して開示を求めたが、検察官は「開示の必要性がない」として応じようとしていないのが現状である。
  狭山事件の有罪判決は、自白を離れて石川きんと犯行を結びつける客観的な証拠として、筆跡や足跡などの状況証拠をあげている。それに対して弁護団は筆跡鑑定などの新証拠を提出し、これら有罪証拠の疑問を明らかにして再審を求めているのであるから、これら争点に関わるすべての証拠物について、犯行と石川さんの結びつきを否定するものがないか検討されなければならないはずだ。
  ぜひ、東京高裁が未開示証拠物の開示、証拠物の標目の提示を検察官に勧告するよう求めたい。


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