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<月刊「狭山差別裁判」443号/2013年2月>

まだ多くの証拠が隠されている!
証拠開示を求める世論をさらに大きくしよう!

 7月におこなわれた第14回三者協議では、弁護側が求めた未開示の筆跡資料や手拭いに関する捜査資料の開示について、検察官は必要性がないとして開示しなかった。また、証拠物のうち当時集められた筆跡資料についてはプライバシーに関わるので開示しないともしている。
  しかし、狭山事件は事件発生から50年も経過しておりプライバシー侵害の可能性は考えにくい。開示証拠は弁護団が再審請求の理由となるものを新証拠として裁判所に提出するのであって、プライバシーの侵害はありえない。また、これらの筆跡資料は当時の捜査で集められ、2審になって東京高検の検察官が番号を付けて領置した証拠物であり、関連性のないものとは考えられない。狭山事件で石川さんを有罪とした確定判決が証拠の主軸にあげたのが筆跡の一致であり、再審請求の重要な争点である。
  三者協議において、東京高裁第4刑事部の河合裁判長も証拠物は客観的証拠であり開示の方向で再検討を促した。そのほかの証拠開示も柔軟な対応を促している。検察官は裁判所の勧告にしたがい、未開示の筆跡資料などの証拠物、その他の証拠をすみやかに開示すべきである。
  これまでの三者協議で130点を超える証拠が開示され、逮捕当日の上申書や腕時計、鞄の捜索報告書など重要な証拠の開示によって無実の新証拠が発見されている。証拠開示は必要不可欠であり、弁護団がさらに徹底した証拠開示を求めるのは当然である。手拭いは犯行に使われた重要な証拠であり、事件直後からおこなわれた捜査資料の開示は重要である。「秘密の暴露」とされた車の駐車の問題についても、捜査側が知り得ず、自白によってはじめてわかったというためには、初期の捜査資料の開示は不可欠のはずだ。検察官は、必要性がないなどとして開示を拒否しているが、そもそも、再審請求にとって関連性や必要性があるかどうかは弁護団や裁判所が判断することであって、検察官が一方的に言うべきことではないはずだ。検察官だけがすべての証拠を見て出す出さないを決める権限をもっている一方で、弁護団には証拠の内容さえわからないという現状じたいが公平ではないというべきだろう。証拠は検察官の独占物ではないはずだ。証拠開示を求める世論をさらに大きくしていこう。次回の第15回三者協議は10月下旬におこなわれる。これにむけて、狭山事件の真相と石川さんの無実をより多くの市民に知ってもらうために、冤罪・狭山事件パネル展や狭山事件50年の集会などの取り組みを各地ですすめよう。要請ハガキや署名などで、証拠開示と事実調べ・再審を求める世論を東京高裁に届けよう。
  50年無実を叫びつづけている石川さんの姿を描いたドキュメンタリ映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」が10月に完成する。ぜひ多くの人が映画を見て、狭山事件と石川さんの真実を知ってほしい。さらに、狭山事件50年パネル展などとあわせて全国的に上映運動をすすめてほしい。


月刊狭山差別裁判題字

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