<月刊「狭山差別裁判」448号/2013年7月>

袴田事件の再審開始決定を教訓に証拠開示の法制化を!
狭山事件の証拠開示と事実調べ求める声を大きくしよう

 3月27日、静岡地裁は袴田事件の再審を開始する決定をおこなった。また静岡地裁は袴田巌さんに対する死刑の執行停止だけでなく拘置の停止も決定し、袴田巌さんは48年ぶりに自由の身となった。再審開始決定は、有罪判決の決め手とされた「5点の衣類」について、袴田さんのものでもなく犯行着衣でもないとし、捜査機関によってねつ造されたものと断じた。そして、これ以上「拘置を続けることは著しく正義に反する」とした。しかし、検察は再審開始決定に対して東京高裁に即時抗告をおこなった。検察庁はただちに抗告を取り下げ、再審公判において一日も早く無罪を確定させるとともに、手持ち証拠をすべて開示して、厳しく指弾された国家犯罪の原因究明に協力するべきである。検察が抗告を取り下げないのなら即時抗告を審理する東京高裁第8刑事部は、ただちに即時抗告を棄却すべきである。
  今回の再審開始決定にいたるまで、静岡地裁は24回におよぶ三者協議で、証拠リストもふくむ証拠開示を勧告し、600点の証拠が開示され、有罪判決の決め手の証拠である「5点の衣類」についてDNA鑑定を実施し、弁護側の提出した衣類味噌漬け実験やズボンサイズの鑑定について鑑定人尋問もおこなった。「5点の衣類」の発見時のカラー写真が初めて開示され、弁護団は、味噌漬け実験で、長期間味噌漬けになっていれば色合いがまったく違うこと、発見時のような色合いは短期間でおきることを示した。検察官は味噌の成分など正確に再現されていないと批判したが、再審開始決定は、発見時のカラー写真と1年以上味噌漬けにした衣類の色合いは誰が見ても明らかに違うとして実験結果の証拠価値を認めた。開示された証拠と弁護側の新証拠を常識的に評価し、有罪証拠の不自然さを認定している。静岡地裁の再審開始決定は、証拠開示をすすめ審理を尽くすとともに、市民常識の目で証拠を公平に評価したものであり、本来の刑事裁判の姿勢をふまえたものというべきであろう。
  偏見にもとづく捜査・逮捕、警察留置場(代用監獄) での長時間の取調べでの自白強要、そして、無理な捜査であるがゆえの証拠のねつ造。すべてが狭山事件と同じである。決定は、いずれは発見される味噌タンクに犯行着衣を放置したままにすることが不自然で普通は処分するはずと指摘する。狭山事件では、石川さんの家から被害者の万年筆が2度の家宅捜索の後に2カ月近く経って発見され、有罪証拠とされたが、殺害した高校生の所持品の万年筆を自宅に持ち帰り、お勝手の入口に置いたままにしておくということじたいが不自然であろう。そもそも日常字を書くことのない当時の石川さんにとって万年筆は役に立たず、むしろ犯罪が露見する証拠だ。腕時計は捨てたというのに万年筆は置いたままというのも自白じたいがおかしい。袴田事件の再審開始決定が示した本来の刑事再審のあるべき姿勢すなわち、証拠開示を徹底してすすめ、事実調べをおこない弁護側新証拠の十分な検討をおこない、「ねつ造はないのか」というきびしい目で有罪証拠を見直すという立場で、狭山事件の第3次再審の審理を東京高裁はすすめるべきである。


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