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<月刊「狭山差別裁判」449号/2013年8月>

袴田事件と狭山事件の冤罪の構図は共通する
狭山事件でも徹底した証拠開示と事実調べが必要だ

 袴田事件では、事件から1年1カ月後に、血のついた 「5点の衣類」が被害者宅に隣接する工場の味噌タンクから発見され、確定判決は、検察官の主張通り、これを袴田さんが犯行時に着ていたものとして有罪の決め手とした。今回の袴田事件の再審開始決定人静岡地裁)は、この「5点の衣類」について、弁護側が提出したDNA鑑定の信頼性が高いとして、袴田さんのものでもなく犯行着衣でもなく、捜査機関が後日ねつ造した疑いがあるとした。さらに、弁護団の味噌漬け実験結果も採用し、長期間味噌タンクに隠されたにしては「5点の衣類」の色が薄いのも不自然とした。また、事件後の捜索や味噌の仕込みの際に発見されなかったのに、1年以上経過して発見されたことも不自然だとし、そもそも早晩発見されることが予想される味噌タンク内に袴田さんが隠すことじたいが不自然とも指摘する。
  「5点の衣類」のズボンについては、証拠開示された捜査書類によって、サイズが細身用のY体であったことが明らかになったとして、袴田さんにあわないものと認めた。このズボンの端布が袴田さんの実家から発見された点についても、捜索の目的となっていたのはバンドであり、事件と関連性のない端布を押収した捜査の経緯が不自然であり、家から端布が出てきたことを装ったねつ造と認定した。
  静岡地裁の再審開始決定は、「5点の衣類」についての疑問点を自白の信用性もふくめて総合的に検討したうえで、犯行着衣でも袴田さんのものでもなく、ねつ造された疑いがあると認定しているのであり、その判断は市民常識からしても当然である。東京高裁は検察の即時抗告をすみやかに棄却し、一日も早く再審を開始すべきである。
  狭山事件では、被害者のものとされる万年筆が石川さんの自宅から自白通りに発見されたとして有罪証拠の決め手のひとつとされた。しかし、この発見された万年筆のインクは被害者の使っていたインクと異質のものであった。万年筆には、石川さんの指紋も被害者の指紋も検出されなかった。石川さんの家は別件逮捕された5月23日に、警察官12人で2時間、さらに、第2次逮捕(本件での逮捕)の翌日の6月18日には、14人の刑事が2時間家宅捜索をおこなっている。2回の徹底した家宅捜索では発見されなかった万年筆が6月26日になって、お勝手入口の高さ175.9センチ、奥行き8.5センチしかない鴨居の上から発見されたというのである。この発見経過はどう考えても不自然である。石川さんの自白では、鞄を捨てる際に万年筆に気づき持ち帰って鴨居に置いていたことになっている。当時読み書きができず、何の役にも立たないばかりか犯行がばれる危険のあるピンク色の万年筆を自宅に持ち帰り、お勝手の入口に置いておくという自白じたいが不自然である。
  東京高裁第4刑事部の河合裁判長は、袴田事件を教訓に、徹底した証拠開示と事実調べをおこない、有罪証拠の信用性を評価するために狭山事件における捜査の不正を究明すべきである。


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