<月刊「狭山差別裁判」450号/2013年9月>

再審における証拠開示は必要不可欠
東京高裁は証拠物のリスト開示を検察官に促すべきだ

 2014年6月13日、東京高裁で第18回三者協議がひらかれた。この間の協議の焦点の一つになっている末開示の筆跡資料の開示について、裁判所が検察官から提出された資料を検討した上でプライバシーに触れないものを弁護団に開示することになった。そもそも、取調べ録音テープや逮捕当日の上申書、インクびんなど、この問、開示された証拠物に付けられた番号が飛んでいることから未開示の証拠物の存在が浮びあがり、弁護団が開示を求めた。とくに、番号飛びのうち、前後が石川さんの筆跡資料であることから、弁護団は未開示の筆跡資料がまだあるはずだとして開示を求めたが、検察官はこれら筆跡資料は第3者のものであり、プライバシーに関わるので開示できないとしたが、裁判所がプライバシーの有無を判断することになったのである。
  証拠物や客観証拠は開示すべきものとされており、弁護団の開示請求は当然というべきであろう。弁護団は証拠物の一覧表(リスト)の開示も求め、今回の協議で裁判所も検討するとした。検察官の手元にどのような証拠があるのか弁護側にわからないという状態は不公平である。弁護側の証拠開示請求に対して、検察官は証拠を特定するよう求めるが、弁護側には何があるかわからないので特定しようがない。また、検察官が「不見当」と回答し、それ以上証拠開示が進まないという状況が続いてきた。東京高裁は、まず証拠物のリストを開示するよう検察官に促すべきである。
  証拠開示について具体的に議論がすすんだ一面、秘密の暴露とされた被害者宅近くの車の駐車に関する捜査書類の開示については、検察官はすべて 「不見当」と回答した。犯人は脅迫状を被害者宅へ届けているのである。事件直後から被害者の自宅近辺の車や人の動きについて聞き込みがおこなわれたはずだが、検察官は「不見当」というだけで、何があるかも明らかにしない。
  また、弁護団は、死体発見直後の手拭いの捜査資料の開示を求めていたが、この手拭い関係の開示請求について検察からの回答はなかった。死体を縛った手拭いは、犯人に直結する重要な物証であり、当然警察は手拭い関係を相当念入りに捜査したはずである。その手拭いの捜査に関する資料を検察は出していない。証拠開示はまだまだ不十分と言わざるを得ない。
  足利事件、布川事件、東電社員殺害事件、そして袴田事件と相次いだ再審開始のカギになったのは証拠開示である。再審請求において検察官手持ちの未提出資料の開示が必要不可欠であることは明らかである。東京高裁の河合裁判長は、さらに検察官に証拠開示を促すべきである。
  映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」 はこれまで45都道府県、250カ所で上映されたという。さらに地域で上映をすすめよう。石川さんの51年以上のおよぶ無実の叫びを多くの人に見てもらい、証拠開示と事実調べを求める市民の声を大きくし、再審無罪実現へと結びつけていこう。


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