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<月刊「狭山差別裁判」451号/2014年7月>

再審の趣旨・理念からも証拠リスト開示は必要不可欠
東京高検は証拠物のリストをすみやかに開示すべきだ

 さる3月に静岡地裁で再審開始決定が出された袴田事件は、検察官が即時抗告を申し立てたため東京高裁で審理が続いている。先日開かれた三者協議で、これまで検察官が「不見当」と説明してきた証拠物が存在することが明らかになったという。裁判の重要な争点で再審開始決定がねつ造された疑いがあると指摘した「5点の衣類」に関する写真ネガで、検察官は、これを基に弁護側に反論する意見書を出してきたという。驚くべきことだ。いままでないと言っていた証拠物がじつは存在し、検察官は、それを使って弁護側に反論してくるというのだ。あまりに不公平・不公正ではないか。検察官が意図的に隠していたと言われてもしかたないであろう。
  写真ネガのような証拠物のリストを検察官が事前に開示していれば、このようなことはおきなかったはずだ。検察官はすみやかに全証拠の開示に応じるべきである。
  ゴビンダ・プラサド・マイナリさんが再審で無罪となった東電社員殺害事件では、DNA鑑定によって、被害者に付着した体液や現場の遺留物からゴビンダさんのものではない男性ⅩのDNAが検出されたことが決め手となった。弁護団の証拠開示請求に対して東京高裁が鑑定試料の確認と保管状況の報告を検察官に求め、検察官が存在を明らかにした42点の証拠物についてDNA鑑定がおこなわれ、その結果、別のDNAが検出されたのである。ところが、検察官は、その他にもDNA鑑定の対象になる証拠物が42点存在するのでDNA鑑定をおこないたいと言い出したのである。結局、ゴビンダさんと一致するDNAは検出されず、むしろ、被害者の体の付着物は別の男性Ⅹのものと一致した。このように、再審開始-無罪判決の決め手になったDNA鑑定の資料となった証拠物は、検察官が一挙に明らかにしたのではなく、都合が悪くなるたびに検察官が後出ししたものだったのである。これらの証拠物は、弁護人がまったく存在を知らないものであった。そのままであれば、DNA鑑定もおこなわれなかったかもしれないのだ。
  再審請求人の無実を示す可能性のある証拠の存在と、どのような内容の証拠なのかを弁護側が知らないという状態が不公平・不公正で正義に反し、無実の人を誤った裁判から救うという再審の理念に反することは明らかである。
  袴田事件の写真ネガの問題は、こうした教訓をいかされず、検察官が証拠開示について逆行していることを示すものである。狭山事件においても、弁護団は証拠物の番号飛びを指摘し、証拠物のリスト開示を求めてきた。このような不公平・不公正な状態をおこさないために、とりわけ再審請求においては、全面的な証拠開示、まず証拠リストの開示を法制化する必要があるだろう。狭山事件の再審請求において、東京高検の検察官は、裁判所の考えもふまえて、すみやかに証拠物の一覧表(リスト)を弁護側に交付するべきである。


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