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主張&声明

冤罪防止のための全面的可視化が必要だ!
誤判救済のための再審における証拠開示

(月刊「狭山差別裁判」459号/2015年3月)

 「謝れ 償え 繰り返すな」――志布志事件で国賠裁判を闘った人たちが訴えた言葉だ。無罪になっても失ったものは大きく、心に傷を残す。なぜ自分が冤罪の目にあわなければならなかったのかを知りたいと思うのは当然だろう。真犯人が判明したとして検察官が再審を請求し、無罪となった氷見事件の柳原浩さんも、「なぜ自分が犯人にされたのか知りたい」「ごめんですむなら警察はいらない」と国賠裁判をおこした。冤罪被害者がみな訴えるのは、なぜ冤罪がおきたのか、その原因と責任を明確にし、警察官や検察官個人だけでなく制度や組織の問題があれば改革するということだ。それはまた、同じような人権侵害を作り出さないためにも必要だ。志布志事件で、人権を無視した取調べを受け、虚偽の自白を強要され、何もなかったところに買収事件をでっちあげられた人たちは、すべての事件で取調べの全過程を録画・録音すべきだと訴えつづけている。

 柳原さんは、なぜまったく関係のない自分が犯人にされたのか知りたいと再審裁判で訴えたが、再審裁判は、それを明らかにするところではないと言われた。そこで、国(検察)と県(警察)、取調べた警察官個人、起訴した検察官個人を被告として国家賠償請求訴訟をおこし、人権を無視した取調べ、証拠のねつ造を明らかにしようとした。柳原さんと弁護団は、検察官は証拠を総合的に勘案して起訴したというのだから、当時の検察官の手元にあった証拠、当時の捜査書類をすべて開示するよう求め、検察官の判断が正しかったのか間違った違法な起訴、違法な公判追行だったかを問おうとする。しかし、警察が出してくるのは真っ黒に塗りつぶされた捜査資料だ。検察も警察も証拠開示に応じようとしないのだ。これでは、結局、いまの日本では冤罪の原因を究明するところはないことになってしまう。

 冤罪について第3者機関による調査委員会をつくり、冤罪の原因を究明し、冤罪をくりかえさないために必要な施策もふくめて公的に明らかにしていくことも必要だろう。イギリスやカナダでは、冤罪の原因を調査する政府の委員会がつくられ、その提言を受けて、取調べの録音や証拠開示の法制化が確立している。

 志布志事件、氷見事件、足利事件、布川事件、東電社員殺害事件、あるいは厚労省元局長の冤罪事件など、あいついで無罪判決が出された冤罪事件を教訓に、取調べの全面可視化(すべての事件での全過程の録画・録音)や弁護側への十分な証拠開示の保障、とくに再審や国賠における証拠開示が確立されなければならないはずだが、冤罪をなくすための司法改革が十分すすめられたとはいえない。

 狭山事件の再審請求で、わたしたちは、石川さんや弁護団とともに、徹底した証拠開示、事実調べ・再審無罪を実現する闘いを強化するとともに、多くの冤罪事件の当事者や支援者とともに、冤罪をなくすための司法改革をすすめていこう。


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