<月刊「狭山差別裁判」463号/2016年2月>

証拠開示と専門家の鑑定によって石川さんの無実は明らかだ!
東京高裁は徹底した証拠開示と事実調べをおこなうべきだ!

 弁護団は、寺尾判決で、秘密の暴露として有罪の根拠になった車両の駐車に関する新証拠、補充書を提出した。狭山事件の有罪確定判決である寺尾判決は、脅迫状を届けた際に被害者の家の東隣りに車が駐車していたとする石川さんの自白通り、貨物自動車が駐車されていたとして、「秘密の暴露」(犯人しか知らない客観的事実が自白によって判明した)と認定し有罪証拠の一つにあげた。寺尾判決は、車が駐車されていた時間を午後7時過ぎから午後7時40分頃とし、脅迫状が届けられた午後7時30分頃にあう車の駐車があったと認定し、石川さんの自白と合致するとしている。本来、「秘密の暴露」というためには、午後7時過ぎから午後7時40分頃に被害者宅の東側の路上に車の駐車があったということが客観的事実であり、車の駐車の事実を捜査側が自白以前には知らなかったということが立証されなければならないはずだ。捜査側がすでに知っている捜査情報にもとづいて、自白を誘導し、秘密の暴露のように見せかけるという事例もこれまで明らかになっている。秘密の暴露といえるかどうか判断するために、どのような捜査がおこなわれたか明らかにしなければならないはずで、関連する全捜査資料が開示されなければならない。
  5月1日の午後7時30分頃に被害者の家で脅迫状が発見され、被害者の自転車が戻されているので、犯人はこの時間帯に被害者宅周辺に現れていることから、事件直後に、被害者周辺の聞き込みが徹底しておこなわれ、人や車の動きが捜査されたはずだ。被害者宅の東隣り2軒目の家の前の車の駐車について6月21日の自白まで捜査側が知らなかったとは考えにくい。弁護団は、この間、車の駐車に関して証拠開示を求め、裁判所の勧告もあり、車を運転していた人や駐車車両を目撃した人の調書や捜査報告書が2013年に開示された。そして、車の駐車時間帯が、午後7時過ぎではなく、もっと早い時間帯であることが開示証拠から明らかになったのだ。これを受けて、弁護団は、人の視覚の専門家である三宅洋一・千葉大学名誉教授の協力をえて昨年5月1日に狭山現地で再現実験を実施した。農作業後、帰宅途中に被害者宅の東側に駐車された車両を見て、ОT商店の車だとわかったという目撃供述にもとづき、車両を視認できるかどうかの実験を実施した。その結果、被害者宅東隣りに駐車した車両を目撃した時間帯は寺尾判決が認定した午後7時過ぎではありえず、もっと早い時間帯であることが科学的に明らかとなった。2月26日、弁護団は、三宅鑑定と実験報告書を提出し、あわせて、関連する証拠開示を求めた。弁護団は、これまで、午後7時過ぎに駐車車両が見えるかどうか、車両の写真や実況見分調書などの開示を求めたが、検察官は不見当としている。当時、警察、検察は、午後7時〜7時40分頃に被害者宅の東隣りに車が駐車されていたことを客観的に裏付けることを何もしていないということを示している。寺尾判決の有罪認定はきわめてズサンと言わねばならない。
  証拠開示された捜査資料と三宅鑑定によって、寺尾判決の有罪の認定がまた崩れた。弁護団提出の新証拠を総合評価し、寺尾判決に合理的疑いが生じていることは明らかだ。東京高裁は徹底した証拠開示をすすめ、すみやかに事実調べをおこない再審を開始すべきだ。


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