<月刊「狭山差別裁判」464号/2016年3月>

取調べ録音テープは石川さんの無実を示す決定的新証拠だ!
東京高裁は鑑定人尋問など事実調べをおこなうべきだ!

 裁判所の勧告によって47年ぶりに証拠開示された取調べ録音テープは石川さんの無実を示す決定的な新証拠といえる。テープに録音された取調べのやりとりから、石川さんが殺害方法、死体の処理、カバンなどの処分方法など、犯行をおこなった真犯人なら知っているはずの犯行内容を石川さんがまったく知らないことが明らかになったことがまず重要だ。たとえば、被害者のカバン、教科書、カバンを自転車にくくりつけていたゴム紐はバラバラに発見されているが、石川さんは取調べで、最初、教科書を鞄に入れたまま捨てたと答え、警察官から教科書はすでに発見されていると言われて、「それじゃあ知らねえよ」と答えている。さらに警察官がカバンは別に埋めたのかと尋ねると石川さんは「カバンは(教科書)すぐそばにありますよ、そいじゃあ」と答えているのだ。石川さんは、カバンと教科書類を一体のものと考え、別だと言われて、それならすぐそばにあるはずなどと言っている。犯人が自分の実体験を話しているとはとうてい考えられないやりとりである。実際にカバンが発見された場所は、教科書・ノート類が発見された場所と道の反対側で約136メートルも離れており、「すぐそば」ではない。明らかに石川さんが、カバン、教科書が投棄された状況をまったく知らないことが表れている。
さらに、死体は手拭いで後ろ手に縛られ、タオルで目隠しされた状態で発見されているが、取調べテープでは、石川さんは取調官から、タオルの用途を聞かれ、口をふさいだと実際とはまったく違うことを述べている。石川さんは死体がどのようになっていたか知らないのだ。録音テープと同時に証拠開示された関巡査の取調べ状況の報告書には、石川さんが、死体がどうなっていたか教えてくれればわかるんだと述べたと書かれている。真犯人が取調べの警察官に死体がどうなっていたか教えてくれと質問するはずがない。録音された取調べのやりとりは、石川さんが犯行内容を語れず、警察官がヒントを与えながら、自白調書がつくられていったことを示している。まさに石川さんが真犯人でないがゆえの「無知の暴露」が録音テープや関巡査の報告書に表れている。
心理学者の浜田寿美男・奈良女子大学名誉教授は、取調べ録音テープを心理学的に分析した鑑定書のなかで、こうした石川さんの「無知の暴露」が、テープのやりとりのなかにいくつも見られ、そのことが石川さんの無実を示していると指摘している。この鑑定書は、現代人文社から「虚偽自白はこうしてつくられる」というタイトルで刊行されているので、購読、学習会等で活用したい。
狭山事件の確定判決となっている2審・東京高裁の寺尾判決は、カバンの発見について、石川さんの自白調書に添付された略図によってカバンが発見されたとして、「秘密の暴露」(犯人しか知らないカバン投棄場所が自白で判明し、その通り発見された)と認定し有罪の根拠としている。また、自白は死体の客観的状況と一致し、信用できると認定している。しかし、取調べテープによれば、「秘密の暴露」ではなく「無知の暴露」が表れており、寺尾判決が誤っていたことが明らかになったのだ。
東京高裁第4刑事部の植村裁判長は、新証拠である取調べテープとこれを心理学的に分析した浜田鑑定、脇中鑑定について、鑑定人尋問などの事実調べをおこない再審を開始すべきである。


月刊狭山差別裁判題字 

月刊「狭山差別裁判」の購読の申し込み先
狭山中央闘争本部 東京都中央区入船1−7−1 03-6280-3360 fax 03-3551-6500
頒価 1部 300円