<月刊「狭山差別裁判」468号/2016年7月>

「下山鑑定」「取調べテープ」の学習・教宣をすすめよう!
事実調べ・再審開始を求める世論をさらに大きくしよう!

 狭山弁護団が東京高裁に提出した下山鑑定は、自白通り被害者の所持品が石川さんの家から発見されたとして、有罪判決の決め手の証拠となっていた万年筆が被害者のものではないということを科学的に明らかにした。下山鑑定は、当時と同じインクを用いて実証実験をおこない、科警研の検査方法で、微量でもインクが混在すればその成分が検出されることを確認し、そのうえで、事件当時に科学警察研究所がおこなったインクの鑑定を精査・検証し、石川さんの家から発見された万年筆に被害者の使っていたジェットブルーインクがまったく入っておらず、むしろ、ブルーブラックインクのみであることを明らかにしたものだ。これは発見万年筆が被害者のものではないことを示している。
  被害者のものではない万年筆が石川さんの家から発見されたということは何を意味するか。2度の徹底した家宅捜索で発見されなかった万年筆が、3回目の家宅捜索で、高さ175・9センチ、奥行き8・5センチのお勝手入り口の鴨居から見つかるという発見経過の不自然さ(ベテラン警察官らが2度の捜索で鴨居に置かれた万年筆を見落とすことは考えられない)と総合的に見れば、万年筆は警察によってねつ造されたと考えるほかないではないか。袴田事件では、DNA型鑑定によって発見された5点の衣類が犯行着衣ではないことが明らかになり、再審開始決定は捜査機関によるねつ造と断じたが、これと同じである。
  被害者の万年筆にブルーブラックインクが補充されたなどというこれまでの再審棄却の言い方はもはや通用しない。被害者のインクがまったく入っていない偽物の万年筆であることが直接、科学的に明らかになったのだ。
  発見万年筆が被害者のものでないということは、殺害後に被害者の鞄から万年筆を筆箱ごと持ち帰り、自宅のお勝手入口の鴨居に万年筆を置いていたという石川さんの自白が虚偽であることを示している。下山鑑定は自白の虚偽と捜査の不正(ねつ造の疑い)を明らかにしている。
  第3次再審では証拠開示された取調べ録音テープも石川さんの無実を示す重大な新証拠だ。取調べテープのやりとりから、石川さんが犯人でないゆえに、死体の状況や鞄の捨て方などの犯行内容を全く知らず、「犯行体験」を何も語れていないことが明らかになった。「スラスラ自白した」「自白調書は石川さんの述べたことを書いた」という警察官の法廷での証言を根拠に、自白は信用できるとした寺尾判決の誤りも取調べテープで明らかだ。
  また、取調べテープによって、石川さんが警察官に1字1字教えられながら、ひらがなで文字を書いているにもかかわらず、正しく書けていないこともわかった。同じく第3次再審で開示された逮捕当日に石川さんが書いた上申書などとあわせて、当時の石川さんが部落差別ゆえに教育を受けられなかった非識字者であり、脅迫状を書けなかったことは明らかだ。
  狭山事件の有罪確定判決である2審・東京高裁の寺尾判決から42年になるが、数多くの新証拠が提出されてきたにもかかわらず、寺尾判決以来42年もの間、一度も証人尋問などの事実調べがおこなわれていない。下山鑑定と取調べテープを中心に新証拠の学習・教宣をすすめ、「万年筆はねつ造」「自白は虚偽」「石川さんは脅迫状を書けなかった」というエン罪の真相、石川さんの無実を市民に訴えよう。東京高裁に鑑定人尋問を求めよう!


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