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主張&声明

袴田事件、狭山事件の再審無罪を実現しよう!
あらゆる冤罪をなくすために連帯して闘おう!

(月刊「狭山差別裁判」473号/2017年6月)

 袴田事件は、2014年3月に静岡地裁で再審開始決定が出され3年以上が経過するが、検察官が即時抗告を申し立て、いまだに再審開始決定が確定していない。静岡地裁の再審開始決定は「捜査機関によりねつ造された疑いのある証拠によって有罪とされ、きわめて長期間の恐怖の下で身柄を拘束されてきた。・・・これ以上・・拘置を続けることは耐え難いほど正義に反する」として死刑の執行停止とともに拘置の執行停止も決定した。東京拘置所から釈放された袴田巖さんは、故郷の浜松で姉の秀子さんと暮らすが、いまだに無罪となっていないのだ。

 東京高裁での即時抗告審に入って、2015年1月に、取調べ録音テープが警察の倉庫にあったとして証拠開示された。袴田さんが逮捕されてから起訴後まで、のべ48時間にもおよぶものだ。この取調べ録音テープによって警察官らのさまざまな違法行為とその違法行為を隠ぺいする偽証が明らかになった。袴田事件弁護団は、これら捜査機関の違法行為を再審開始すべき理由として追加する申立てを2016年12月におこなった。

 たとえば、否認している袴田さんが小便に行きたいと求めているのにトイレに行かせず自白をせまり、警察官が取調べ室に便器を持ち込み、「そこでやんなさい」と室内で衝立もなしで排尿させるというあまりにひどい取調べの実態が録音されていた。袴田さんが自白に転じたのはこの2日後だ。袴田さんは1審の裁判でトイレに行かせてもらえず調べ室で排尿させられたと取調べの実態を訴えていたが、取調べ警察官は、取調べ室内での排尿を袴田さんが依頼した、衝立を置いたと法廷でウソの証言していた。弁護団は、警察官らの室内排尿強要は特別公務員暴行陵虐罪にあたり、それを隠ぺいするための法廷証言は偽証罪にあたるとして再審の理由になると主張している。

 また、接見にきた弁護士と袴田さんの会話も録音されていた。被疑者が捜査機関の立ち合いなしで接見する秘密交通権を保障した刑事訴訟法に違反する盗聴だ。これも取調官は法廷で否定していた。袴田弁護団は、接見盗聴は公務員職権濫用罪、盗聴否定の法廷証言も偽証罪として再審理由と主張している。
こうした袴田巖さんに対する取調べの実態は、狭山事件でやはり取調べ録音テープの開示によって明らかになった石川さんに対する取調べと同じだ。弁護士との接見を禁止して、手錠・腰縄をつけたまま取調べをおこない、3人の警察官が「脅迫状を書いたことは間違いない」「供述義務がある」と強引に石川さんを自白に追い込んでいたことが取調べ録音テープで明らかになった。裁判所はこうした違法な捜査・取調べの実態に目を向け、袴田事件においても狭山事件においても、すみやかに再審を開始すべきである。袴田さん、石川さんの見えない手錠をはずし、真の自由を実現するために、ともに連帯して闘おう。再審における弁護側への証拠開示の保障や証拠リスト交付制度の実現をめざし幅広い運動をすすめよう。

 袴田事件では、東京高裁第8刑事部(大島隆明裁判長)は、弁護団の反対にもかかわらず、検察側の求めるDNA鑑定の検証実験をおこなうことを決め、検証実験のために時間が費やされている。再審開始決定は、犯行着衣とされた「5点の衣類」のズボンのサイズが合わないことや発見経過の不自然さも総合的に評価して捜査機関のねつ造の疑いを指摘している。東京高裁の大島裁判長は、捜査・取調べの違法を認め、すみやかに再審開始を確定すべきである。


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