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主張&声明

東京高検は弁護団の求める証拠開示におうじるべきだ!
東京高裁は公正・公平な審理を保障し開示勧告すべきだ!

(月刊「狭山差別裁判」474号/2017年7月)

 狭山弁護団は、この間、あいついで重要な新証拠を提出している。下山鑑定は、自白通りに石川さんの家から発見されたとして有罪証拠となった万年筆が被害者のものではないことを科学的に明らかにした。さらに川窪第3鑑定は、発見万年筆は細字のペン先、脅迫状の訂正文字は中字のペン先であり、発見万年筆は脅迫状訂正の万年筆ではないことを専門家の立場から明らかにした。この2つの鑑定によって、殺害後、万年筆を奪って持ち帰ったという石川さんの自白はウソの自白であり、犯行現場で被害者の万年筆で脅迫状を訂正したと認定した寺尾判決が誤りであることは明らかだ。2度の家宅捜索の後に発見された経過のおかしさや自白の不自然さとあわせて考えれば、警察による証拠ねつ造の疑いを示している。

 流王報告書は、土地家屋調査士という専門家が証拠開示された航空写真を分析して、鞄を捨てたという石川さんの自白と実際の鞄の発見場所が大きく食い違っていることを明らかにした。鞄は自白通り発見されたとはいえないことを示している。寺尾判決が有罪の根拠とした3物証が「秘密の暴露」とはいえず、ねつ造の疑いがあることが明らかになったといえる。

 一方、寺尾判決が有罪証拠の主軸とした脅迫状についても、森鑑定、魚住鑑定が提出された。これらの鑑定は、あらたに開示された取調べ録音で石川さんが筆記している場面を分析し、当時の石川さんが非識字者であり脅迫状を書けなかったことを明らかにしている。石川さんの自白はつくられた虚偽自白であることが開示された取調べ録音テープで明らかになっている。有罪判決の誤りは新証拠によって明らかだ。「鑑定人尋問をおこない狭山事件の再審を開始せよ」の世論を大きくしよう。

 証拠開示を求める闘いも続いている。第3次再審請求では、これまで187点の証拠が開示され、下山鑑定や森鑑定などこの間の新鑑定はすべて開示された証拠資料をもとにしている。無辜の救済という再審において証拠開示は必要不可欠である。

 この間弁護団は、被害者が持っていたという「手帳・財布」「身分証明書」に関する証拠の開示、脅迫状の宛て名「少時」に関する証拠の開示、石川さんが自白に落ちる前後の心身状態についての捜査書類やカルテの証拠開示などを求めている。しかし、検察官は、この間の三者協議で、弁護側の要求する証拠開示は「必要性」「関連性」がないとして応じていない。捜査で集められた証拠資料は検察官の独占物ではないはずだ。検察官が開示の必要性を判断し、手持ち証拠に何があるのかさえ弁護側に知らされない(証拠のリストさえ見せない)という実態はあまりに不公平・不公正である。昨年の刑訴法改正では再審における証拠開示を今後検討することが附帯決議として確認され、改正刑訴法附則に明記された。再審における証拠開示を保障する立法を求めていくことも重要だ。冤罪をなくし司法民主化を求める運動と結びつけて狭山闘争を闘おう。

 石川さんが冤罪を訴えて54年、再審を求めて40年にもなる(第1次再審請求は1977年8月)。狭山事件では、この40年間の再審請求で一度も事実調べがおこなわれていないのだ。足利事件では警察のDNA鑑定のやり直しがされ、布川事件や袴田事件の再審請求では証拠開示が進み、鑑定人尋問がおこなわれ、再審が開始された。狭山事件でも、証拠開示と事実調べをおこなうよう求めていこう。全国各地で、取調べDVDや狭山パンフ、パネルを活用し、新証拠の学習・教宣をすすめよう。


月刊狭山差別裁判題字

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