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主張&声明

東京高裁・後藤眞理子裁判長は狭山事件の再審開始を!
新証拠の学習・教宣をすすめ再審求める世論を大きくしよう!(その1)

(月刊「狭山差別裁判」479号/2018年2月)

 弁護団は1月15日に、コンピュータによる筆跡鑑定などの新証拠6点を提出した。第3次再審請求で提出された新証拠は197点になった。提出された新証拠は、福江潔也・東海大学教授によるコンピュータによる筆跡鑑定2通、魚住和晃・神戸大学名誉教授による筆跡についての意見書、石川さんが5月21日に上申書を書いた際に立ち会った警察官の報告書3通(昨年証拠開示されたものを含む)である。

 福江報告書は、脅迫状と石川さんの書いた上申書(1963年5月21日付と同年5月23日付)および手紙(1963年9月と10月のもの)を検査対象として、コンピュータによる筆者異同識別をおこない、その結果99.9%の識別精度で、脅迫状と上申書および手紙は別人が書いたものであるというものだ。

 福江報告書の判定方法は、長年の研究にもとづく科学的なもので、コンピュータを使って文字を読み取り、字形の情報を数値化し、文字を重ね合わせたときのズレ量を計測するものだ。筆跡の相違度が客観的に数値化され比較できる。具体的には脅迫状と上申書・手紙にくりかえし出てくる「い、た、て、と」の4文字を対象として、すべての筆跡の組み合わせについて相違度(ズレ量)を計測したところ、個人内の書きムラでは説明できない大きな相違度があることがわかった。研究室の筆跡データベースにある多数の筆跡サンプルをもとに同一人か別人かを判定する識別境界のズレ量(相違度)がわかっているが、脅迫状と石川さんの文書の筆跡の相違度はそれを大きく上回るものであり、99.9%の識別精度で別人の書いたものと判定するのが合理的と結論づけている。福江報告書は、警察の従来の筆跡鑑定と違って、コンピュータによって計測、判定されており非常に客観的だ。福江報告書によって、有罪判決の決め手の証拠となった脅迫状は石川さんが書いたものではないことが最新の科学的方法によって明らかになったといえる。

 魚住意見書は、石川さん逮捕の根拠のひとつとされた警察の筆跡鑑定の中間回答が誤っているうえに、非常に恣意的であると指摘したもの。警察は5月21日に石川さんの家で上申書を書かせたうえ、県警鑑識課で鑑定させ、わずか1日で同一人の筆跡という中間回答が出され、それを根拠に逮捕状を請求、5月23日に逮捕している。上申書を書かせた警察官の報告書には「筆跡が酷似している」などと犯人と決めつけた内容が記載されている。明らかに石川さんを狙い打ちし、筆跡が同一という鑑定を急いで作らせて強引に逮捕し、自白をせまるという予断に満ちた不当な捜査だったことが明らかだ。狭山事件の捜査に問題はなかったとした有罪判決の誤りが明らかになったといえる。

 弁護団はすでに、取調べ録音テープの分析もふまえて、当時の石川さんが非識字者で脅迫状を書けなかったことを明らかにした森鑑定、魚住鑑定も提出している。第35回三者協議後の記者会見で石川さんは「学校に行けず、当時は読み書きができなかった私が脅迫状を書けるはずがない。その通りの鑑定が出た。一日も早く再審を認めてほしい」と訴えた。

 東京高等裁判所第4刑事部の裁判長にあらたに就任した後藤眞理子裁判長は鑑定人尋問などの事実調べをおこない狭山事件の再審を開始すべきである。

 新証拠の学習をすすめ、より多くの人に石川さんの無実をひろげよう。鑑定人尋問などの事実調べをおこなうよう世論を大きくしていこう!


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