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主張&声明

有罪判決は新証拠によって完全にくずれている!
東京高裁・後藤眞理子裁判長は狭山事件の再審を開始すべきだ!(2)

(月刊「狭山差別裁判」487号)

 狭山事件再審弁護団はことし、重要な新証拠をあいついで提出した。1月には、石川さんと脅迫状の筆跡は別人のものであることを客観的、科学的に明らかにした福江潔也・東海大学教授によるコンピュータによる筆跡鑑定を提出した。福江鑑定の方法は、コンピュータを使って文字を重ね合わせたときのズレ量を計測することで、筆跡の相違を客観的に数値化し比較するものだ。脅迫状と石川さんの書いた上申書や手紙にくりかえし出てくる「い、た、て、と」の4文字について筆跡の相違度(ズレ量)をコンピュータで計測したところ、個人内の書きムラでは説明できない大きな相違度があり、別人の書いたものと判定するのが合理的と結論づけている。石川さんが脅迫状を書いた犯人でないことが客観的、科学的に明らかになったと言える。

 7月には、元京都府警察本部科学捜査研究所技官の平岡義博・立命館大学教授による鑑定意見書2通、証拠開示された捜査報告書などを新証拠として提出した。狭山事件の有罪判決は、死体発見現場から約125メートルの麦畑で発見されたスコップは石川さんがかつて働いていたI養豚場から盗んで死体を埋めるのに使ったものであるとして客観的な有罪証拠とした。その根拠とされた埼玉県警鑑識課のスコップ付着の土壌と油脂の鑑定である。平岡意見書は、スコップ付着土壌に死体発見現場付近の土と類似するものがあったという埼玉県警鑑識課の鑑定の結論は誤りであり、警察の鑑定からはスコップ付着物に油脂があったというだけで、I養豚場で使われていたスコップであると特定できないと指摘した。有罪判決の根拠となった証拠のスコップが死体を埋めるのに使われたものとも、I養豚場のものとも言えないことが長年、警察の捜査で土の分析の研究と実務を担ってきた元科捜研技官の科学的な分析で明らかになったことは重要だ。スコップに関する新証拠は、被差別部落に対する見込み捜査がおこなわれ石川さんが狙い打ちされたことを示している。

 8月には、下山進・吉備国際大学名誉教授が作成した鑑定書(下山第2鑑定)が提出された。下山第2鑑定は、蛍光X線分析でインクに含まれる元素を分析することで、石川さんの家から自白通り発見されたとして有罪の重要証拠とされた万年筆が被害者のものではないことを科学的に明らかにしている。すなわち、蛍光X線分析によって、被害者が使っていたインク瓶のインク、被害者が事件当日に書いたペン習字浄書の文字インクからはクロム元素が検出されたが、発見万年筆で書いた数字のインクからはクロム元素が検出されなかったのである。この検査結果は、被害者が事件当日まで使っていたインクが石川さん宅から発見され有罪証拠とされた万年筆に入っていなかったことを示している。下山第2鑑定の結果は、これまでの裁判所の決定がいう「別インクの補充」では説明できない。別インクを「補充」しても元のインクのクロム元素が検出されなくなることはないからだ。下山第2鑑定は、インクに含まれる元素の違いから、発見万年筆が被害者のものではないということを明らかにした決定的な新証拠である。

 狭山事件で確定有罪判決となっている1974年10月31日に東京高裁・寺尾正二裁判長のおこなった無期懲役判決である。これがいまも石川一雄さんに冤罪の「見えない手錠」をかけている。この寺尾判決から44年が経過する。寺尾判決以降、多くの無実の新証拠が明らかになったが、第1次、第2次再審請求においてはまったく事実調べがおこなわれていない。

 寺尾判決が有罪の根拠とした、筆跡の一致、スコップ、万年筆、自白が新証拠によって崩れていることは明らかだ。石川さんの無実が数々の新証拠で明らかになっている。東京高裁第4刑事部(後藤眞理子裁判長)は、鑑定人尋問などの事実調べをおこない、狭山事件の再審を開始すべきだ。


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