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主張&声明

冤罪を作り出す社会と司法を変えよう!
証拠開示の保障など再審法改正を実現しよう!

(月刊「狭山差別裁判」489号/2019年2月)

 狭山事件の有罪判決は、事件後に死体発見現場から約125メートル離れた麦畑で発見されたスコップが死体を埋めるのに使われたもので、石川さんがかつて働いていたI養豚場のものであることが明らかになり、血液型や筆跡などから石川さんが逮捕されたのであって、捜査は合理的に進められたとしている。2018年7月に弁護団が提出した元科捜研技官の平岡義博・立命館大学教授による鑑定は、長年科学捜査にたずさわってきた専門的見地から、この有罪証拠とされたスコップが死体を埋めるのに使われたものとも、I養豚場で使われていたスコップとも特定できないと指摘している。スコップを根拠に被差別部落の青年を調べ、石川さんに絞り込まれたという捜査は何ら科学的根拠もなく見込み捜査であったことが明らかである。

 第3次再審で証拠開示された捜査報告書では、捜査本部が県警鑑識課に問い合わせ養豚場のスコップであることをくりかえし確認しようとしていたことも明らかになった。捜査本部はスコップ発見翌日には鑑識で調べる前にスコップが死体を埋めるのに使われI養豚場のものと発表している。Iさんにスコップを確認するのは5月21日になってからで、この日の報告書には、「(スコップを盗んだのはI養豚場の)様子をよく知った者の犯行と推定される」と書かれ、この豚舎にかつて働いていて、スコップを盗める者として石川一雄さんの名前があげられている。警察はこの日に家に行って石川さんに上申書を書かせ、筆跡が類似という中間回答を鑑識課に出させて石川さんを5月23日に逮捕しているのだ。スコップも筆跡も科学的根拠のない誤った警察の鑑定であり恣意的に作られたものと言わざるをえない。石川さんを狙い打ちにした見込み捜査は明らかだ。

 しかし、当時の新聞報道では、警察が石川さんを逮捕すると、「筆跡鑑定はクロ」と書き、別件逮捕にも関わらず犯人と決めつけたうえで、「常識外の異常性格」などと人格を攻撃する報道を始め、さらに石川さんの住む被差別部落を「特殊地区」「悪の温床」「環境のゆがみが生んだ犯罪」と差別意識をあおる記事まで書かれている。当時の新聞記事にも書かれているように「犯人はあの区域」という差別、偏見が住民の中に広がっていった。こうした差別の現実が警察の強引な見込み捜査、警察での人権を無視した取調べを許し、冤罪を作っていったと言わざるをえない。

 石川さんは別件逮捕後、警察の取調べで自白を強要された。開示された取調べ録音テープでは自白を強要する取調べの実態、さまざまな誘導で自白のストーリーが作られていく過程が明らかになった。狭山事件の有罪判決はこうした捜査も取調べも問題ないとしている。冤罪を作り出す警察の自白依存の取調べも虚偽自白による冤罪も後を絶っていない。裁判所が警察や検察の捜査を厳しくチェックし、警察の鑑定などの証拠や自白調書を評価しなければならないはずだが、多くの誤判では検察の主張のままに有罪判決が出されている。自白依存が誤判を生み出すのであり、裁判官の責任、裁判官の人権感覚も問われている。

 狭山第3次再審請求でこの間、新証拠となった取調べ録音テープ、石川さんが当時書いた上申書、被害者のインク瓶や航空写真など半世紀近くたって証拠開示されたものだ。言いかえれば半世紀も検察官が隠していたと言わざるをえない。検察官の証拠不開示、証拠隠しは冤罪の最大の原因の一つだ。証拠開示の保障(弁護側の証拠閲覧権)、再審開始決定に対する検察官の上訴の禁止、再審請求人の拡大などの法改正をいまこそ進めなければならない。狭山事件の再審を実現し石川さんの無罪をかちとるとともに、連帯する冤罪被害者の訴えにこたえ、幅広い運動で再審法改正・冤罪をなくすための司法改革実現しよう! あらゆる差別をなくし、人権意識を高め、冤罪を作り出す社会を変えよう!


月刊狭山差別裁判題字

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