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主張&声明

原点にかえって石川さんの無実の新証拠を学習しよう!
狭山事件の再審開始を求める世論を大きくしよう!

(月刊「狭山差別裁判」501号/2020年2月)

 狭山事件の確定判決である2審・東京高裁の有罪判決(寺尾判決)は「脅迫状及び封筒の文字は被告人の筆跡であることには疑いがない」「脅迫状の筆跡が被告人の筆跡であることを主軸として被告人が犯人であることを推認させるに十分であり、この推認を妨げる状況は全く見出すことはできない」としている。

 また、表記能力、文章能力の違いを指摘し、石川さんが脅迫状を書いていないことを指摘した大野鑑定などに対して、「たしかに、被告人は教育程度が低く、逮捕された後に作成した図面に記載された説明文を見ても誤りが多いうえに漢字もあまり知らないことがうかがえる」と言いながら、「被告人の当時の表記能力をもってしても、『りぼん』その他の補助手段を借りれば、脅迫文自体、ごくありふれた構文のものであるだけに、作成が困難であるとは認められない」と決めつけている。最高裁の上告棄却決定も、「他の補助手段を借りて下書きや練習をすれば、(脅迫状は)作成が困難な文章ではないとしたのは是認することができる」としている。

 ルポライターの鎌田慧さんは、著書「狭山事件―石川一雄、四十一年目の真実」(草思社2004年刊/岩波現代文庫「狭山事件の真実」として2010年再刊)の中で、「字の書けない被告人が、脅迫状を書いた」というのが、この事件のもっとも「不自然」なところである。」と書いている。そして、寺尾裁判長が「字を教えてもらって脅迫状を書いた」という3人共犯自白は極めて不自然としていることについて、「こんな程度の脅迫状なら、ひとに頼らなくても自分で書けたはずだ、との(寺尾裁判長の)認識をあらわしている。しかし、当時の石川さんの能力では、漢字を教えてくれる男がもしもいたとしても、そもそも手紙を書くことなどできなかった、と気づくべきだったのだ」と指摘している。

 この鎌田さんの指摘の正しさは、2010年に証拠開示された取調べ録音テープによって客観的に明らかになった。証拠開示された取調べ録音テープには石川さんが筆記している場面が録音されており、警察官がまさに「図面に記載された説明文」の書き方を教えていることがわかったのだ。それにもかかわらず、石川さんが取調べで書いた文字はほぼすべてがひらがなで、「があこを(学校)」「じどをじや(自動車)」などのように促音や拗音、長音が正しく書けていないのだ。石川さんがひらがなの表記のルールを知らなかったことが明らかなのだ。

 一方、脅迫状には漢字の誤字はなく、「気んじょ」「いッて」「時間どおり」のように拗音も促音も長音も正しく書けている。教えてもらっても文字を正しく書けない人が、一人で手本を見ながら書けたとは考えられない。きびしい部落差別の中で家が貧しく小学校も十分に行けなかった石川さんは、24歳当時も読み書きができなかった非識字者だったことが開示された取調べテープや逮捕当日の上申書によって明らかになったのである。

 第3次再審請求では、開示された取調べ録音の分析などをふまえて、当時の石川さんが部落差別によって文字を奪われた非識字者であり、脅迫状を書けたとは考えられないとする識字能力鑑定が無実の新証拠として提出されている。コンピュータを使った客観的計測によって脅迫状と石川さんの書いた文字の字形の相違を調べ、筆者は別人であることを明らかにした福江鑑定も出されている。

 東京高裁は新証拠を総合評価し再審を開始すべきだ。新証拠の学習をとおして狭山事件の原点を再確認し、鑑定人尋問、再審開始を求める世論をさらに大きくしよう。


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