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主張&声明

鑑定人尋問実現にむけ正念場の年!
狭山再審実現、再審法改正めざし運動をうすすめよう!

(月刊「狭山差別裁判」512号/2021年1月)

 昨年末に狭山事件第3次再審請求の45回目の三者協議がおこなわれた。弁護団は、足跡新鑑定など13点の新証拠を提出した。

 足跡新鑑定は、東京大学、東京都立大学の4人の科学者が、3次元スキャナを用いて、裁判所に保管されている現場の足跡や石川さん宅から押収された地下足袋、押収地下足袋で警察が作成した対照足跡などの立体形状を計測し、そのデータにもとづいて有罪判決の根拠となった警察の足跡鑑定を検証したものだ。警察の足跡鑑定は、現場足跡と対照足跡の写真を撮って、平面写真上で長さや角度を測って、足跡が一致するというものだ。足跡新鑑定は立体形状を客観的に計測することで、このような警察鑑定の誤りを明らかにしている。またスコップについての平岡第3意見書、血液型についての鉄第2意見書、万年筆発見経過についての原・厳島意見書は、検察官意見書に誤りを明らかにし、有罪判決が崩れていることを示す科学的新証拠だ。

 弁護団は、スコップに関して、警察が鑑定資料とした土の採取経過や報告書、写真などの証拠開示を求めた。鑑定人尋問とともに、検察官に証拠開示を勧告、命令するよう裁判所に求めたい。

 一方、検察官は、12月16日に反論の意見書をまた提出してきた。殺害方法、死体の逆さづり、死体運搬などの論点について弁護側の新証拠に反論するものだ。弁護団は、これらの検察官意見書についても証拠によって今後、反論することにしている。
弁護団は年内には、準備中の新証拠、検察官への反論などの提出をふまえ、鑑定人尋問を請求することにしている。いよいよ重要な正念場をむかえる。

 狭山事件は今年で事件発生、石川さんが冤罪におとしいれられて58年をむかえる。1977年に最高裁の上告棄却決定で無期懲役判決が確定し、石川さんが再審を求めて43年以上にもなるが、一度も鑑定人尋問などの事実調べがおこなわれていない。あまりに不公平、不公正である。

 今度こそ、東京高裁第4刑事部(大野勝則裁判長)が弁護団が求めた鑑定人尋問をおこなうよう強く求めていきたい。

 全国的にコロナ禍で集会などの開催がむずかしい状況の中で工夫した取り組みもおこなわれている。東京高裁に鑑定人尋問、再審開始を求める市民の声を届けていこう。

 昨年末には、袴田事件で最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)が、東京高裁の再審開始取消・棄却決定を取り消し、審理を東京高裁に差し戻す決定をおこなった。5人の判事のうち2人は再審開始決定を出すべきだと主張した。

 今回の最高裁決定をふまえ、審理が差し戻された東京高裁が、科学的証拠についての公正、公平な審理を迅速におこない、袴田さんの再審開始を一日も早く確定するよう求めたい。

 今回の最高裁決定を機に、再審の審理の在り方を国会でも十分議論するべきだ。1月下旬から始まる通常国会で、再審法改正の議論をすすめるよう国会議員に働きかけよう。再審法改正は、狭山再審の闘いにとっても証拠開示や事実調べを実現するために重要な課題だ。再審における証拠開示を検察官の義務とし、鑑定人尋問などの事実調べを必ずおこなうように、誤判から無実の人をすみやかに救済できるように再審の手続きを整備し、法改正を実現する動きへと結び付けよう。最高裁決定を再審の現状を訴え、再審の流れを変えるきっかけにしていこう。


月刊狭山差別裁判題字

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