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主張&声明

検察官はスコップ関連の証拠開示をおこなえ!
雪冤求めて58年! 東京高裁は狭山事件の再審開始を!

(月刊「狭山差別裁判」516号/2021年5月)

 4月に狭山事件第3次再審請求の46回目の三者協議がおこなわれ、弁護団が昨年末にスコップについての新証拠提出にあわせて求めた捜査資料の証拠開示について協議された。検察官は開示について検討しているとしたうえで、捜査資料があれば提出するとしたという。

 スコップは、狭山事件の確定有罪判決で客観的証拠のひとつとされたものだ。有罪判決は、死体発見現場近くで発見されたスコップを、石川さんがかつて働いていた養豚場から盗んで死体を埋めるのに使ったものとした。これに対して弁護団は、元京都府警察本部科学捜査研究所技官の平岡鑑定人による意見書を提出し、有罪判決の根拠となった警察の土の鑑定は、スコップ付着の土と比較する対照資料として、死体発見現場そのものから土を採取せず、死体発見現場付近に穴を掘って土を採取しており、これではスコップが死体を埋めるために使われたものということはできないと主張した。そして、この主張にかかわって、警察の鑑定の信用性を検討するために鑑定の経過などを明らかにする必要があるとして、土を採取した際の捜査報告書類、採取記録(穴の写真など)などを証拠開示するよう求めたのだ。検察官は、すみやかに捜査記録を精査し、求められた捜査資料を開示すべきだ。

 2006年5月23日に第3次再審請求が申し立てられてまる15年が経過する。第3次再審請求では、2009年に東京高裁の門野裁判長が検察官に証拠開示を勧告し、翌年に逮捕当日の上申書や取調べ録音テープなどの証拠が開示された。その後も、証拠物のリストや手ぬぐいやスコップに関する捜査報告書、発見万年筆で書かれた数字が添付された調書など、重要な証拠が開示され、それらをもとに、弁護団は、専門家による科学的な鑑定を作成、提出することができた。コンピュータを用いた計測データをもとに統計的に筆者が別人であることを判定した筆跡鑑定、蛍光X線分析による万年筆インクの鑑定、法医学者による殺害方法、死体処理、血液型の鑑定、3次元スキャナを用いた足跡鑑定などいずれも専門家による科学的証拠である。これらの新証拠を公正・公平に評価するためにも鑑定人尋問は必要であるはずだ。

 2010年の足利事件以来、この10年あまりの間に再審無罪があいついだが、いずれも証拠開示と鑑定人尋問が再審開始のカギとなっている。しかし、狭山事件では、石川さんと弁護団は44年近くも再審を求めているが、これまでは一度も鑑定人尋問はおこなわれていない。東京高裁第4刑事部(大野勝則裁判長)が、狭山事件の再審請求においても鑑定人尋問をおこなうよう求めたい。

 狭山事件が発生し、無実の石川一雄さんが不当逮捕され、冤罪におとしいれられて58年をむかえた。石川一雄さん、早智子さんは感染予防と体調管理に気をつけて、元気で生きる闘いを続けている。58年もの長きにわたって石川さんが雪冤を訴えていることをより多くの人たちに知ってもらい、東京高裁が、鑑定人尋問をおこない、狭山事件の再審を開始するよう求める世論を大きくしていこう。弁護団が求める証拠開示におうじるよう検察庁に求めよう。東京高裁に再審開始を求める署名や高裁、高検に対する要請ハガキにとりくもう。

 再審請求における証拠開示の法制化、事実調べの保障といった再審請求の手続き規定の整備、再審開始決定に対する検察官抗告の禁止など、再審法改正を求める声を大きくし、法改正を求めて国会議員に働きかけよう。感染状況をふまえつつ、各地で新証拠の学習・教宣をすすめ、58年に及ぶ冤罪の真相と石川さんの無実を訴え、狭山事件の再審開始を求める世論を大きくしよう!


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