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主張&声明

東京高裁は11人の鑑定人尋問とインク鑑定の実施を!
事実調べを求める署名運動をさらにひろげよう!

(月刊「狭山差別裁判」530号/2022年7月)

 11月24日、東京高裁で第52回三者協議がひらかれ、東京高裁第4刑事部の大野勝則裁判長と担当裁判官、東京高等検察庁の担当検察官、弁護団の中北龍太郎・事務局長ら10人の弁護士が出席した。協議において、検察官は、弁護団が提出した新証拠、補充書に対する反論の一部を年内に提出し、その他の反論および、弁護団が提出した事実取調請求書に対する意見書を来年2月末までに提出すると述べた。

 検察官は7月29日付けで弁護団提出の新証拠に対する反論の意見書を提出しており、狭山弁護団は、この意見書に対する反論の新証拠として、血液型に関する法医学者や元科捜研技官の意見書を年内に提出するとしている。次回の三者協議は2023年1月下旬におこなわれる。

 弁護団が8月29日に、第3次再審請求で新証拠を作成した鑑定人11人の証人尋問とインク資料の鑑定の実施を求める事実取調請求書を東京高裁第4刑事部に提出したことを受けて、狭山事件の再審を求める市民の会(鎌田慧・事務局長)は事実調べを求める緊急署名を呼びかけた。さる10月28日には、全国から寄せられた10万筆を超える署名が東京高裁に提出された。東京高裁は、事実調べを求める多くの市民の声を真剣に受けとめ、鑑定人尋問とインクの鑑定を実施するべきだ。

 まだ事実調べの実施が決まったわけではない。事実調べをおこなうかどうかの裁判所の判断は、2月末に出される検察官の意見書やそれに対する弁護団の意見をふまえてなされる。わたしたちは、11人の鑑定人尋問とインク鑑定の実現にむけて、さらに署名運動をひろげていかなければならない。事実調べを実現し、再審開始、再審無罪判決をかちとりたいという石川一雄さん、早智子さんの訴えにこたえ、事実調べを求める署名運動に全力でとりくもう。次回の三者協議がおこなわれる1月に、さらに10万筆の署名が提出できるよう署名運動を強化しよう。

 検察官は、弁護団が提出した新証拠に対する反論、反証をつぎつぎと提出する一方で、弁護団が求めた証拠開示にはまったく応じようとしていない。

 先日も、狭山事件の有罪判決の根拠の一つとされたタオルに関して、弁護団が求めていた証拠開示請求に対して、検察官は、弁護団が求める証拠は「不見当(見当たらない)」とする意見書を提出した。弁護団は、ことし1月にタオル関係の証拠開示を求めたが、検察官は、タオルについての新証拠が提出されていないとして、開示の必要がないとする意見書を提出した。

 弁護団は客観的な証拠については新証拠の有無にかかわらず開示すべきだという意見書を提出し、裁判所も三者協議において開示の検討を促したが、結局、今回「不見当」という回答に終始したのだ。有罪証拠の一つであるスコップに関する証拠開示も弁護団は求めていたが、検察官は資料があるかないかも言わず、「開示の必要性がない」ということで、対応済みであるとの回答に終始した。あまりに不誠実ではないか。

 こうした証拠開示をめぐる状況を公正・公平なものに変えていくためには法律、制度を変えていくしかない。再審請求における証拠開示を検察官に義務づけることや、裁判所が再審開始決定を出したら検察官は抗告(不服申し立て)をできないようにすることなどを盛り込んだ再審法(刑事訴訟法の一部)の改正は喫緊の課題だ。再審法改正を求め、国会に強く働きかけていこう。再審法改正を求める国会請願署名にとりくもう。


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