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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

部落差別を助長する
「えせ同和行為」を許すな
「解放新聞」(2007.03.26-2312)

 「同和問題などに関する高額書籍の購入を強要したとする恐喝事件」容疑で、2月19日に「全国同和人権促進会」なる政治団体の名前を騙っていた人間が逮捕されたことが新聞各紙で報じられている。
 新聞報道では、容疑者は「全国の企業などに電話し、「運動の協力として書籍を買ってくれないか」などともちかけ、拒否されると「街宣車でも行けば迷惑だろ」などと脅迫、1冊5万円前後で本を売りつけた」とされている。このような手口で、これまでに18億円の被害が出ているという。
 驚くべきことは、この政治団体の代表が「社会党」や「新社会党」の重鎮であった和田静夫・元国会議員であったこともさることながら、被害額から割り出すと3万5、6千冊もの購入数にのぼるという事実である。
 今回の事件で判明している事実だけでもこれほどの購入件数になっていることは、巷間いわれているさまざまな団体名を騙りながらおこなわれているという同種の行為によって、どれほどの被害件数になるのか予測がつかない実態がある、といわざるを得ない。

 私たちは、部落解放同盟にかかわる昨年5月からの一連の不祥事にたいする社会的な謝罪を表明するとともに、部落解放運動再生への「組織総点検・改革運動」を提起し、全組織をあげてとりくみを推しすすめているところである。
 この「組織総点検・改革運動」の一環として、改めて組織内外の「えせ同和行為」を許さない本格的な体制づくりとして、中央本部・都府県連段階に対策本部を設置して「組織内えせ同和行為防止全国連絡会議」を立ち上げている。
 私たちは、「えせ同和行為」とは、「部落差別撤廃」や「部落解放」を名目にしながら、私利私欲のために不正に利権を漁る行為であると同時に、これらの「えせ同和行為」が社会的正義を求め続けてきた部落解放運動の長年の社会的信用を失墜させ、さらには「部落はこわい」とか「部落は何をするか分からない」という部落差別意識を助長・再生産する差別行為であると規定している。
 したがって、差別行為である「えせ同和行為」は、組織の内外を問わずに一掃しなければならず、行為者が部落解放同盟員であるとするならば直ちに組織的に厳正に処断することは当然であるし、組織外の者であったとしても差別を助長・再生産する行為として断固たる弾劾の防止策を講じていく必要がある。

 私たちは、改めて組織内外に「部落差別を助長・再生産する「えせ同和行為」を断じて許してはならない」ということを強くよぴかけるとともに、つぎのようなとりくみをしていくことを訴えるものである。
 第1に、「えせ同和行為」的な動きがあれば、直ちに中央本部や都府県連の「えせ同和行為防止対策本部」に情報・連絡を集中して、全国連絡会議で情報を共有しながら、有効な防止策を組織的に講じていくこと。
 第2に、日常的に、各界の関係団体などともに、「えせ同和行為」については、「する方」も「応じる方」も差別行為であることを徹底し、これを絶対に許さないし、屈しないという情報発信を系統的におこなっていく、こと。
 第3に、恐喝まがいの悪質な「えせ同和行為」にたいしては、行為者が誰であろうとも、躊跨なく警察に通報・告発して直ちに封じ込めていくこと。
 第4に、以上のようなとりくみを有効に機能させるためにも、必要があれば各都府県段階で、対策本部が中心になって、企業、宗教、教育、行政など関係者や団体との「えせ同和防止」連絡会のようなネットワークの輪を広げて、情報の共有や防止策のとりくみについてお互いに支え合う関係を構築すること。
 これらのとりくみを部落解放同盟が中心になって強力に推しすすめ、あらゆる「えせ同和行為」を一掃していこう。

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