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部落問題資料室
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主張

 

同和教育の成果を継承・発展させた人権教育を創造していこう

「解放新聞」(2011.11.28-2545)

 「人権教育・啓発に関する基本計画」が策定され、10年が経過しようとしている。学校教育では、この「基本計画」と「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議」が3次にわたり公表してきた「とりまとめ」をふまえ、地域によって実施状況や実践内容に温度差はあるものの、全国的に「人権教育」にとりくむ環境が整いつつある。すべての学校で、他の教科学習と同様に、当たり前のこととして「人権教育」にとりくむという状況にはまだまだほど遠いものの、そうした未来を志向する緒についたともいえる。
  そこで、人権教育の内実をより豊かで確かなものにしていくために、部落問題解決に重要な役割を果たしてきた同和教育の成果を、人権教育へと着実に継承・発展させていくことが、いま、求められている。
  「差別の現実に深く学ぶ」ことから出発することを原則とする同和教育が、子ども会活動など地域活動と両輪となり、部落問題の解決を図ってきたように、人権教育でも、たんなる「人権学習」に陥ることなく、学校やその周辺地域に存在するさまざまな困難や人権課題と向きあい、学校と地域が協働したとりくみをとおして、人びとをエンパワーメントすると同時に、課題解決を図っていくことが求められる。一方で、同和教育が大切にしてきた部落問題学習でいえば、これまでの解放運動の成果で、住環境面での大きな改善や、若い世代の被差別体験の減少など、差別実態の一定の改善が図られてきた。その結果として、部落内外の若い世代の部落問題の認識も多様化しており、こうした変化をふまえたアプローチと実践が求められている。

 今日、学校では、教員の大量な世代交代を迎えている。つまり、これまでの同和教育の実践の中核をになってきた人材が、一斉に去っていくことを意味している。これまで、同和教育が大切にしてきた「部落問題学習」「学力保障・進路保障」「集団づくり」などのとりくみを普遍化し、同和教育の成果を着実に継承・発展させていくために、各地で教育運動を活性化させ、地域と学校が協働したとりくみを強力におしすすめていこう。


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