部落解放同盟中央本部
中央執行委員長 組坂 繁之
新しい年を迎え、全国の同盟員と兄弟姉妹、そして部落解放運動の取り組みに連帯・協働をいただいている皆様方に、新年のご挨拶を申し上げます。
昨年10月の衆議院解散−総選挙では、安倍首相の森友・加計学園の疑惑隠しと政権延命のためだけの自己都合解散でしたが、民進党による希望の党への合流をめぐる動きや立憲民主党の結成など、野党側の混乱もあり、与党が3分の2の議席を確保するという厳しい選挙結果となりました。
安倍政権は、すでに破綻したアベノミクスの失敗をごまかし、「働き方改革」「人づくり革命」などをすすめるとしていますが、一方で生活保護費の減額をはじめとした社会保障費や医療費の削減、「残業ゼロ法案」「解雇の金銭解決制度」を中心にした労働法制改悪の策動は、われわれのいのちと生活を守る取り組みに逆行する施策であることが明らかになっています。しかも、この間の深刻化する格差や貧困の問題や、若者を中心に増大する非正規労働者の問題も放置されたままです。今日、こうした社会的な不満や不安が安易に差別排外主義と結びつき、暴力や差別を公然と扇動するヘイトスピーチや鳥取ループ・示現舎のような悪質極まりない差別言動となっており、裁判闘争の勝利はもちろんのこと、差別−被差別を根底から問い直し、社会変化をめざす差別糾弾闘争を強化していかなければなりません。
また、安倍政権はこの間、「特定秘密保護法」や「戦争法」「共謀罪」など、「戦争をする」国づくりをすすめてきました。さらに、防衛費の増大、原発再稼働や沖縄・辺野古の新基地建設でも明らかなように、日米軍事一体化をいっそう強化する、戦前回帰の反人権主義、国権主義の政治を推しすすめています。われわれは、憲法9条改悪をはじめとした、戦争につながる全ての政策と策動に反対し、改憲阻止3000万人署名の取り組みなど、人権と平和、民主主義の確立をめざす闘いの先頭に、しっかりと荊冠旗をうちたてて、連帯・協働の闘いを強化していくことが求められています。
また、当面の重要な課題では「部落差別解消推進法」の活用、具体化の取り組みがあります。「推進法」では、その基本理念や目的のなかで、部落差別が今日でも厳しく存在することをふまえ、部落差別は社会悪であるとしています。さらに、「推進法」は、部落差別を許さない社会づくりをめざして、国や自治体が、相談体制の充実、教育・啓発の推進、実態調査の実施などを明記した、部落解放行政の基本的な方向を示したものです。われわれは、「推進法」の制定をふまえ、地域での要求、要望を集約しながら、行政交渉を強化し、部落解放・人権行政の推進をかちとっていかなければなりません。さらに、そうした取り組みをすすめるなかで、個別人権課題に関わる「障害者差別解消法」や「ヘイトスピーチ解消法」の制定をふまえ、それぞれの法律の成果や課題を共有するなかで、人権侵害救済制度をはじめとした包括的な人権の法制度の確立にむけて協働した取り組みをすすめていくことが求められています。また、組織拡大と運動強化にむけた人材育成、「人権教育・啓発推進法」の活用、「人権のまちづくり」運動の活性化、男女平等社会実現基本方針の実践なども重要な課題です。
狭山再審の闘いは、本年で事件発生から55年です。今年こそ、石川一雄さんの不屈の闘いに応え、事実調べ−再審実現をかちとるために、全力をあげましょう。昨年には、自宅から発見された万年筆が、被害者のものではないとした「下山鑑定」が新証拠として提出されました。こうした石川さんの無実を示す数多くの新証拠を広く世論に訴え、必ずや再審開始をかちとりましょう。
今年は世界人権宣言70周年の年でもあります。差別と戦争に反対する部落解放運動の飛躍にむけて、荊冠旗のもとに固く団結し、全国の仲間たちととも全力で闘いをすすめましょう。
2018年1月1日
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