新年のご挨拶

きびしい情勢を乗り越え、部落解放運動を大きく前進させよう

部落解放同盟中央本部
中央執行委員長
組坂繁之

  新しい年を迎えるにあたり、部落解放同盟に結集する兄弟姉妹の皆さん、そして連帯・協働の取り組みをともにすすめていただいている皆さんの活動に感謝申し上げます。
  昨年12月の衆議院議員総選挙では、民主党政権への批判が強まるなかで、安倍自民党政権が復活し、憲法改悪や「国防軍」創設など、国権主義・反人権主義の政治情況が生み出されました。また、核武装を容認する日本維新の会も議席を獲得するなど、戦争推進勢力が伸長し、貧困・格差という深刻な社会問題があるにもかかわらず、社会保障制度の見直しによる社会的弱者へのしわ寄せと武力による外交問題の解決という、人権と平和の確立をめざす私たちの取り組みに逆行する戦前回帰の政治が推しすすめられようとしています。
  さらに、多くの犠牲者が出た東日本大震災の復興支援は不十分なままであり、いまだに収束したとはいえない福島第1原発事故によって、多くの人たちが避難を余儀なくされています。私たちは、今後とも復興支援の取り組みを強め、人権のまちづくり運動のなかで、差別のない、安全・安心の社会づくりなど、協働した取り組みをすすめていかなければなりません。
  昨年は、全国水平社創立90周年の大きな節目の年でした。部落差別撤廃をめざした先達の闘いは、もちろん苦闘の連続でありました。解放の父 松本治一郎先生は、三度の投獄にも屈せず、不撓不屈の闘いを生涯続けてこられました。私たちがめざす部落差別撤廃、そして人権と平和の確立にむけた闘いもまた、これまで以上にきびしく困難な道程です。しかし、こうした時代情況だからこそ、部落解放運動の果たす役割はますます重要になっています。
  とくに、人権の法制度確立の第一歩である人権侵害被害救済制度の実現めざす闘いや狭山再審闘争など、いずれの闘いも大きな山場を迎え、正念場の年です。さらに、戸籍等不正取得事件や土地問い合わせ差別事件、インターネット上の差別情報の氾濫のほか、マスコミや宗教界での差別事件など、閉塞化する社会情勢のなかで、陰湿で確信的な差別事件や人権侵害事件が続発しています。私たちは、今後とも、差別糾弾闘争を強化し、断固とした闘いをすすめていかなければなりません。
  また、組織の強化も重要な課題です。女性部や青年部はもちろんのこと、さまざまな世代の運動を結集する部落解放運動の特性を十分に活かし、地域のなかで、信頼される運動と頼りにされる組織づくりが求められています。
  私たちは、全水創立以来の90年の闘いをしっかりと総括し、部落解放-人間解放、そして人権と平和の確立をめざし、困難ではありますが、希望に満ちた未来に向かって、新たな連帯・協働の闘いの第一歩をともに踏み出しましょう。

 

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