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声明

 

甲山事件、山田さんへの無罪判決に対する検察官控訴の方針を弾劾する

 さる3月24日、神戸地裁は、甲山事件の差戻し審で山田悦子さんに対して無罪判決をおこなった。無実を叫びつづけた山田さん、弁護団、そして救援会の長年にわたる闘いが実り、無罪判決がかちとられたことをともに喜びたい。
 しかしながら、神戸地検、大阪高検は、この無罪判決に対して、あろうことか控訴の方針を表明した。わたしたちは、この甲山事件の無罪判決に対する検察官控訴方針の表明に満腔の怒りをこめて断固抗議する。そもそも神戸地裁の無罪判決は、自白や園児の目撃証言の信用性をはじめ検察官のすべての主張を否定し、無罪を言い渡したものであり、控訴理由など何もない。むしろ、山田さんを犯人とする証拠がないにもかかわらず、不当に逮捕、でっちあげ、えん罪の長期裁判を強いた検察・警察の誤りこそ反省し、謝罪すべきにもかかわらず、ひたすらメンツのためのみ、控訴を画策しているとしか言うほかない。山田さんは20年という長期にわたる裁判を強いられ、2度の無罪判決を受けたのであり、検察官の控訴は、山田さんに対する極めて重大な人権侵害であるとともに、司法の公正さを望む国民の意志をふみにじる暴挙である。みずからの誤りを認めようとしないばかりか、メンツの維持のために権力をふりかざす、このような検察の姿勢は、国民の人権意識に重大な悪影響さえおよぼすものと言わざるをえず、断じて許されない。
 おりしも、世界人権宣言が50周年を迎える本年、二度の無罪判決に対する検察官の控訴は、公正で迅速な裁判を受ける権利を保障する世界人権宣言や国際人権<自由権>規約などの国際的な人権基準を無視した暴挙として、国際的にもきびしく指弾されることは疑問の余地がない。
 わたしたちは、山田さんの無実を確信し、その人権を守り、公正な裁判と人権を尊重する司法の確立を求める立場から、検察官の控訴方針の表明を怒りをもって弾劾し、ただちに控訴を断念するよう強く求めるものである。

1998年4月4日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 上田卓三

 <抗議電報>
 甲山事件の無罪判決に対する検察官の控訴は、山田さんに対する重大な人権侵害であるとともに、公正な司法を望む国民の意志をふみにじる暴挙である。検察のメンツのためだけの控訴をただちに断念するよう強く要請する。  

抗議先 ①神戸地方検察庁  神戸市中央区橘通り2-2-2
  ②大阪高等検察庁  大阪市北区西天満1-12-7
  ③最高検察庁    東京都千代田区霞が関1-1-1

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