平和と人権、民主主義の確立に逆行する一連の動きを批判する
わが同盟は、この間「周辺事態法」などを含む「新ガイドライン関連法案」の国会審議について、法案の問題点を指摘するとともに、慎重審議を求めてきた。しかしながら、政府は、「周辺事態」の定義をはじめとした問題点を明確にすることなく、さらに自治体・民間施設に戦争協力を強制することなどに反対する多くの国民の声を無視して、5月24日に法案を強行採決し、成立させた。
また、6月1日には、基本的人権とプライバシーを侵害し、労働組合や市民運動をも対象になりかねないなど、きわめて危険な内容を持つ「盗聴法」などの組織犯罪対策三法案が、そうした問題点を充分論議されることなく、衆議院では強行採決された。さらに個人情報の悪用や「国民総背番号制」につながる「住民基本台帳法」の改悪も6月15日に衆議院で可決され、連合などが問題点を指摘している「労働者派遣法改正案」も今国会で成立しようとしている。
そして、わが同盟が、天皇制の政治利用とかつての侵略戦争の反省を踏まえて強く反対している「日の丸」「君が代」の「国旗・国歌法案」についても、6月11日に閣議決定され、国会に上程されている。
こうした一連の国会審議について、わが同盟は、日本の政治がきわめて危険な、いわばファシズム的な方向に突き進んでいると言わざるを得ないし、長引く経済不況と、雇用・生活の危機が続く中で、国民の不満や要求を強権的に押し込め、管理しようとするものであると強く危惧するものである。しかも、いずれの法案についても、国民に必要な情報が明らかにされず、十分な国会審議もないまま、国会会期を延長してまで法案成立を強行することは、政治不信を一層増大させるとともに、戦前回帰の傾向を強めるものであると憂慮するものである。
わが同盟は、こうした平和と人権、民主主義の確立に逆行する一連の国会運営および審議の動向を強く批判するとともに、平和憲法の精神を生かし、日本の人権政策の確立をめざして、さらに取り組みを強めていくものである。
1999年6月18日
部落解放同盟中央本部