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声明

 

石原慎太郎・東京都知事の差別発言に抗議する

2000年4月13日
部落解放同盟中央本部

 石原・東京都知事は、4月9日の陸上自衛隊第1師団「創隊記念式典」に出席し、「東京では、不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな騒じょう事件すら想定される。警察の力では限りがあるので、自衛隊も、治安の維持も目的として遂行してほしい」とのあいさつをした。また、自衛隊についても「国家にとっての軍隊の意味を国民、都民に示してほしい」と憲法無視の発言を行った。
 わが同盟は、この差別発言および憲法無視の国家主義的な発言に対して断固抗議するとともに、発言の撤回と在日外国人および関係団体への謝罪を強く申し入れる。とくに、今回の東京都知事の発言にある「三国人」は、日本において、在日朝鮮・韓国人、台湾人を取り締まりや監視の対象として用いた差別語であり、日本に滞在する外国人、とりわけ在日朝鮮・韓国人があたかも「凶悪な犯罪」を起こしていると決めつけている、極めて悪質な差別発言である。こうした悪質な差別扇動発言は、関東大震災直後の「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」というデマによって、多くの朝鮮人が虐殺された歴史的事実を反省することなく、人権意識・人権感覚を喪失した発言である。
 石原・都知事はこれまでも東京都の広報紙や都議会などで、「三国人」発言を繰り返して、その都度、回収や議事録削除が行われているにもかかわらず、12日の記者会見では、「誤解を招きやすいなら『三国人』という言葉を使わないようにします。誤解されたのは遺憾であります」と開き直りとも言える発言をしている。石原・都知事は、「三国人」という言葉で傷つき、治安の対象とされる、在日朝鮮・韓国人をはじめとする在日外国人に想い至らない想像力の欠如こそを恥じ、直ちに差別発言を撤回し、謝罪すべきである。
 さらにこの発言は、日本が批准・加入している「国際自由人権規約」や「人種差別撤廃条約」にも明確に違反しており、国際的な批判も浴びている。また、日本政府は、「人権教育のための国連10年」の取り組みをすすめるなど、部落差別はもとより、人種差別、民族差別をはじめとしたあらゆる差別撤廃にむけた努力を国際的にも約束しているが、今回の差別発言に対する国際的な批判もまた、日本における人権状況の現状を如実に示すものである。
 わが同盟は、人権教育・啓発推進のための法律実現を国に求めているが、こうした石原・都知事の差別発言を許容する社会の変革のためにも、あらためて、この取り組みを強力にすすめるものである。

 

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