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部落問題資料室
部落解放同盟ガイド
決議・宣言

反差別共同闘争をおしすすめ、
狭山第2次再審闘争に完全勝利するための決議

東京高裁第五刑事部の高橋省吾裁判長は、一月二十三日、異議申立を棄却する決定をおこなった。弁護団は、異議審で新鑑定を提出し、再審棄却決定の誤りを明らかにしたにもかかわらず、高橋裁判長は事実調べもおこなわず、鑑定の中味の判断もしないで一方的にしりぞけている。われわれは、怒りをこめてこの不当決定に抗議する。狭山第2次再審闘争は、最高裁第一小法廷の担当の下で、特別抗告審の段階にはいった。われわれは、「再審の理念」も「刑事裁判の鉄則」もふみにじり、事実調べも証拠開示もおこなわれないまま強行された異議申立棄却決定を徹底して批判し、最高裁に棄却決定取り消しと再審開始を強く求めるものである。われわれは、もう一度原点にかえって、齋藤四鑑定をはじめとする無実の新証拠を広め、狭山事件の真相と石川さんの無実、裁判の不当性を一人ひとりの市民の人権の問題として訴え、住民の会の広がりをバネに、最高裁にたいする特別抗告審闘争を全力で闘いぬくものである。
 また、東京高検の担当検察官が、積み上げれば二三メートルという多数の未開示証拠と証拠リストがあることを認めながら、まったく証拠開示がおこなわれないまま棄却決定が出された。われわれは、この極めて不公平・不当な実態を徹底して国内外の世論に訴え、何としても証拠開示をかちとるべく、弁護側の権利としての証拠開示保障の立法化をふくむ闘いを断固すすめる。
 国連・自由権規約委員会の勧告など国際的な人権基準・制度をふまえ、「裁判員制」導入や証拠開示ルール化を掲げる司法制度改革の動きにも注目・監視しながら、法学者や弁護士、国会議員とともに、証拠開示の確立など司法の民主的改革を推進する。また、えん罪支援や死刑廃止にむけた市民運動との連帯をすすめるとともに、「国際人権B規約」の「選択議定書」の批准をめざす運動を推進する。
 再審棄却決定につづく「ガイドライン関連法」「盗聴法」「憲法調査会設置」「国旗・国歌法」と「日の丸・君が代」強制、今回の異議申立棄却決定につづく有事法制制定の動きなど、一連の反動法案が出され、国権主義的動きが強まっている。狭山再審での東京高裁の二つの棄却決定も一連の反動化の流れ、司法の危機的状況のあらわれである。われわれは幅広い闘いによって、こうした司法反動、国権主義の動きに断固反対していかねばならない。部落解放をめざし、あらゆる差別と人権侵害に反対する幅広い共同闘争として、狭山闘争を闘ってきた意義を確認し、司法の反動化、排外主義・国権主義の強まるいまこそ、平和・人権・民主主義を擁護・発展させる反差別共同闘争を断固としておしすすめる。
 石川さんが無実の罪で逮捕、でっちあげられて来年には四十年にもなろうとしている。棄却決定に屈せず、早智子さんとともに、「えん罪を晴らすまで何十年かかろうとも闘い抜く」という石川さんの決意にこたえ、一日も早く「見えない手錠」を解かねばならない。
 狭山事件は部落差別が生んだえん罪である。われわれは、「一人は万人のために 万人は一人のために」を合言葉に、無実を叫びつづけている石川一雄さんとともに、狭山差別裁判糾弾闘争をおしすすめ、再審 || 無罪をかちとるまで闘うことを、ここにあらためて確認する。特別抗告審の闘いで事実調べと全証拠開示を実現し、狭山第2次再審闘争に完全勝利するまで断固闘うものである。

 右、決議する。
 二〇〇二年五月十日
部落解放同盟第59回全国大会


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