アジア系民族学校を排除する文部科学省決定に抗議する
さる3月6日、文部科学省は英米の学校評価機関の認証を受けた欧米系のインターナショナルスクールの卒業生に限って大学受験資格を与え、朝鮮学校をはじめとするアジア系の民族学校には従来どおりに認めない方針を明らかにした。
こうした方針は、アジアの民族とアジア系民族学校にたいする明らかな差別であり、重大な人権侵害である。わが同盟は、今回の決定を到底容認することはできず、断固抗議の意を示すとともに、すみやかに民族学校を含むすべての外国人学校の卒業生にたいして大学受験資格を認めることを強く求めるものである。
これまでにも、日本政府による民族学校にたいする不平等な取り扱いについては、国連の規約人権委員会、子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会から再三にわたり改善を求める勧告が出されるなど、国内外から強い批判を浴びてきた。そして、こうした国連の勧告などを受け、公私立大学の半数が大学独自に受験資格を認めてきているにもかかわらず、こうした事実を一切無視した文部科学省の決定は、大学の門戸を広げていこうとする時代の流れに大きく逆行するものである。大学受験資格の認定に関して、文部科学省は「さまざまな国々の、多様で特色ある教育内容について、国がチェックするのはなじまない」と自らの責任を放棄している。他国の評価機関に権限を委ねるのならば、すべての大学の自主的な判断に委ねるべきである。
また、新聞報道によると、文部科学省幹部の発言として「今、朝鮮学校に資格を認めることに国民の理解が得にくい」と「拉致問題」を契機とする朝鮮民主主義人民共和国にたいする国民感情の悪化が今回の決定に影響しているとあるが、人権教育を推進する立場にある文部科学省こそ、今日の朝鮮学校をはじめ在日朝鮮人を取り巻く差別的な社会状況の改善にむけた努力をすべきであり、教育の課題を外交や政治の問題にすり替え、アジア系民族学校に通う子どもたちにたいする差別の助長に繋がりかねない決定をしたうえに、国民に責任を転嫁する発言をするなどということは断じて許されないのである。
文部科学省は「子どもの権利条約」の理念と精神を真摯に受け止め、今回の決定を見直し民族学校を含むすべての外国人学校の卒業生にたいして大学受験資格を認めるとともに、アジア系民族学校にたいするあらゆる差別的取り扱いを早急に是正すべきである。
2003年3月14日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 組坂 繁之
教育対策部長 岡田 健悟
在日本朝鮮留学生同盟
http://wing.zero.ad.jp/~zbf10400/(HP)
http://wing.zero.ad.jp/~zbf10400/syomei.htm(署名関連)
韓青連HP
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kr-youth/index.html
〈日本-在日-韓国〉ユースフォーラム・ジャパンHP
http://youth-forum.soc.or.jp/
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