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イラクへの武力攻撃に反対する

 イラクをめぐる情勢は緊迫の度を加えている。中央本部は、三月八日、イラクヘの武力攻撃に反対する声明を内外に示した。

 いま、世界では戦争反対の声が日増しに高まっている。米国によるイラク攻撃に反対する世界統一行動には、ニューヨークの四十万人、ロンドンの五十万人など、世界六十か国、六百都市・地域で一千万人以上の人たちによる世界規模の反戦デモが実現した。いまや、イラク攻撃反対の声は、世界の多数派になっている。日本の世論調査でも、八割近くがイラク攻撃に反対し、国連査察を強化し継続すべきであると回答している。
 世界は、米国という大国の戦争への暴走にノーという意思表示を明確に示した。
 一昨年の「9・11同時テロ」以降、米国はイラクや北朝鮮を「悪の枢軸」として一方的なイメージを作り上げ、「米国の正義」を「世界の正義」にしようと躍起になり、イラクへの先制攻撃を公言している。しかし、世界の大多数の人たちは、戦争行為が、いかなる平和をももたらさず、女性や子どもをはじめ、戦闘に参加した兵士はもちろん、より多くの民衆に多大な犠牲を強いることになる今回の軍事行動に反対しているのである。
 しかしながら、小泉首相は、「個人情報保護法案」による国家統制や、テロ特措法の制定と自衛隊の海外派兵強行など、有事法制化を推進するとともに、いままた米英両国によるイラク攻撃を強く支持し、まさに「参戦国」としての立場を表明している。さらに、国連での日本政府の演説は、約八割の世界の国々がイラク攻撃は時期尚早と訴えたにもかかわらず、米国の後押しをすることに終始した。しかも、二月二十四日に米英などが国連安全保障理事会に提出した新決議案は、武力行使容認のためだけのものであるにもかかわらず、日本政府は、ODA(政府開発援助)と引き替えに、その新決議採択の根回し役を買って出ているのである。
 イラクが、国連安全保障理事会決議に違反していることや、大量破壊兵器を隠し持っている疑いがあることは明白であり、イラクは、当然こうした問題を解決しなければならない重大な責任がある。しかし、国連査察活動が機能している段階で、米英両国が一方的な軍事行動に踏み切る理由はどこにもない。
 戦争放棄の憲法をもつ日本が果たす役割は、小泉首相がいうような米国追従の「国際協調」ではない。日本政府が国際社会のなかで果たすべき責任は、いっさいの武力行使を停止し、イラク問題の話し合いによる平和的解決をめざす姿勢を明確にすることである。
 わが同盟は、この間「戦争は最大の人権侵害である」との立場から、いかなる軍事行動にも反対してきた。今後ともわれわれは、イラク攻撃反対、武力行使反対の闘いを強力にすすめるとともに、平和的解決を求める世界の多くの人たちとの連帯・協働のとりくみを強め、いっさいの戦争協力に断固反対するものである。

 二〇〇三年三月八日

 部落解放同盟中央本部
 執行委員長 組坂 繁之

 

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