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イラク新法成立に断固抗議する

 

 第156通常国会では、与党がイラク新法を強行採択した。中央本部は、この暴挙にたいし、断固抗議する声明を7月26日付けで、組坂委員長名で発表した。全文を掲載する。

 米英などによるイラクへの先制攻撃・占領正当化と、自衛隊による下支えを目的とした「イラク新法(イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法)」成立にたいし、私たちは反差別・人権確立の立場から断固反対し、抗議する。
 政府はこの法案を、衆議院、参議院で拙速に、数の力で強行採決した。それは時間をかけて国民的合意を作り出すことが困難であり、審議すればするほど、法案のもつ問題が露呈するからにほかならなかったからである。いまや、いつでも、どこでも自衛隊を派遣できるようにとの理由から、「恒久法」の成立すら狙われているのが現状だ。
 この法案は、イラクへの人道復興支援活動(水、食糧、医療品などの支援)を謳いながら、実際は安全保障支援活動という名のもとに、イラクを国連憲章、国際法違反の状態のまま占領している米英軍を中心とした多国籍軍の指揮下に入り、武器、弾薬、燃料、食糧などの補給活動を主目的にしたものだ。
 自衛隊が海外で武器輸送を担うのは初めてのことである。武器輸送は、これまで国会答弁で交戦権にあたり違憲だとしてきたにもかかわらず、今回はそうでないといいくるめているのだ。また、自衛隊は初めて陸海空の3軍で1000人規模の派遣を想定してお
り、バクダッドに3軍の統合機関設置まで検討している。こうした自衛隊が、どこで活動するかについても公表しない、と政府はしているのである。
 イラクでは、米英などの多国籍軍にたいして、不法な占領だとして、イラク民衆の抵抗が強まっている。自衛隊が、安全保障支援活動の名のもとに、多国籍軍の指揮下で、抵抗するイラク民衆を「鎮圧」すること、つまり、殺傷を公然とおこなうことになるのである。
 また、私たちは、大量破壊兵器の存在を口実に、米英軍などがイラクを大量破壊したこと、とりわけ湾岸戦争でも使用した劣化ウラン弾を今回も使用したことに強く抗議する。劣化ウラン弾は、環境のなかにはいりこみ、半永久的にイラクに住む人びとの健康を奪い、死に至る人びとを生み出しつづける。これは、サイレント・ジェノサイド(静かなる虐殺)である。
 こうした侵略戦争を支持し、積極的に日本政府が乗り出すのは、朝鮮民主主義人民共和国を仮想敵国とし、戦争ができる国家をめざすためである。有事3法制の成立、教育基本法の改悪の動き、憲法改悪の動きなどがそれで、さまざまな領域で一挙に繰り広げられている。
 故松本治一郎委員長は、「戦争は最大の差別であり人権侵害である」と喝破した。私たちは、この立場を堅持するとともに、有事3法制による国民総動員態勢、「イラク新法」などを突破口にした、日本の侵略国家化に断固反対するものである。

2003年7月26日
部落解放同盟
中央執行委員長
  組坂繁之

 

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