第60回全国大会宣言
戦争は最大の人権侵害である。戦争が生み出すものは、怒りと憎しみ、連鎖する報復のみであり、犠牲になるのは未来を担う子どもたちである。反戦平和を求める世界の声を無視して、イラク武力攻撃を強行した米・英両国と、それに追従する小泉内閣は、戦争という竜巻の渦のなかに人権を巻き込み、奪おうとしている。このような反動的な状況を断じて許すことはできない。いまこそ私たちは、国権主義や反人権主義と対決し、平和と人権確立を求める反差別国連帯活動を強化し、共同・連帯の闘いを強力に推しすすめなければならない。
また、「人権擁護法案」抜本修正に向けた闘いでは、国会内外で大きな力を結集し、全同盟員が一丸となって闘い、真に実効ある人権救済制度をかちとらねばならない。
狭山再審闘争でも、石川一雄さんが不当逮捕されて、40年を迎える。「狭山事件40年」を契機にした総学習運動の展開や証拠開示のルール化を実現するとりくみなど、全国の住民の会と連携し、再審実現に向けた闘いを前進させなければならない。そして、結婚・就職での差別身元調査や、インターネットによる悪質な差別事件が続発している今日、社会システムの変革と、豊かな人間関係の実現をめざした差別糾弾闘争の強化も重要である。
昨年の「地対財特法」の期限切れを迎え、部落解放運動は新たな転換期にある。本大会では「部落解放・人権政策」の確立、地域性を生かした「人権のまちづくり運動」、狭山差別裁判をはじめとした「差別糾弾」の強化、国際人権基準を具体化する「世界の水平運動」の推進、複合差別の視点を含めた「男女共同参画」の実現、自立・自闘に向けた「人材育成、組織改革・財政確立」のとりくみを、新たな時代の部落解放運動の基本方向として確認した。私たちは、自主・共生・創造のとりくみを地域で実践し、人権社会の実現、そして男女平等社会の確立に向け、部落解放――人間解放の輝かしい夜明けをめざし、闘い抜くことを誓い合うものである。
右宣言する。
2003年5月10日
部落解放同盟第60回全国大会
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