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部落問題資料室
NEWS & 主張
指摘うけ研修見直す
N社が差別メール事件糾弾会で
「解放新聞」(2005.5.30-2220)
 【大阪】コンピューターシステム開発会社N社の元社員による差別ホームページ、差別メール事件の第2回糾弾会を5月16日午後、大阪人権センターでひらいた。前回の第1回糾弾会(2209号既報)のあとに犯人Sが書いた反省文を確認、Sにたいして、差別事件を起こした背景を追及した。前回の糾弾会で差別性を認めずあいまいな態度に終始したN社にたいしては、事件発覚後には大阪府連へ報告にきたが、犯人として社内のSが営業妨害の容疑で逮捕された後は大阪府連へ報告をしなかったという隠ぺい体質を指摘。また、社内研修によって逆に差別を生み出すような問題、誹誇中傷メールが飛び交う社内環境など、事件を引き起こす差別体質についても厳しく指摘した。
 Sは「深く反省する」と謝罪、N社も社に差別体質があったことを認め、相手の立場に立った啓発活動や研修へ、もう一度社内研修を見直したい、と語った。


差別体質を厳しく指摘 第2回糾弾会
N社差別メール事件で

 糾弾会には、元N社員S、N社社長、専務ら5人、N社親会社の人事部担当ら3人が出席。大阪府連、和歌山県連、兵庫県連をはじめ、関係団体など180人、岸田副委員長、北口中執、赤井中執が参加した。

深く反省とS

 元N社員Sが前回の糾弾会を受けて提出した反省文をもとに、Sにたいし、なぜ部落差別メールやホームページを作成したのかを再度質問した。Sは差別行為への動機について、①社内で誹誇中傷メールが飛び交っていたころ、自分自身に届いた誹誇中傷メールにたいして会社から詰問され、警察に調査依頼を出されて実家のまわりを張られたり、被害者なのにまるで加害者のような扱いを受けたこと②あげくのはてに人事異動させられたことをあげ、社内研修などを通じ、自分がこれまで「知らなかった」同和問題について、会社が「非常に注意を払っている」「部落問題に気を使っている」ように感じ、部落差別メールを送ることを考えた、と語った。
 Sは、「今回の件で、多大なご迷惑をかけた。自分の行為がこんなことになるとは考えていなかった。深く反省し、二度としないと決意する。立場の違う相手の気持ちを考えて行動する。いっそうの自己啓発に励む」と語った。
 N社は事件発覚後はすぐに大阪府連へ報告に来たものの、社内から犯人が逮捕された後は10か月以上も連絡しなかったことについて、「事件をきちんと整理したらあらためて報告にいこうと思った」「ためらっているうちに報告が遅れてしまった」と弁解したが、W銀行にもあいまいな報告しかしていないことや、犯人のSへの事情聴取もしないまますぐに解雇してしまうなど、「部落問題に気を使っている」社としての差別体質、隠ペい体質があることを厳しく指摘した。
 また、北口中執が、社内啓発活動や研修がまったくの逆効果として差別事件を生んでしまったことは、会社の体質やとりくみと密接にかかわっている。「何のための社内研修なのか。新たなとりくみをすすめてほしい」と要請した。

社内研修見直し

 N社は差別体質があったことを認め、「あらためておわび申し上げる。差別を受けた人の立場に立てていなかった。反省する。社内の研修自体に、差別撤廃への思い、意欲が足りなかった。この教訓を糧に、社員とのコミュニケーションをとったり、研修後に意識調査をするなど社内啓発活動や研修を考え直し、いっそうつとめさせていただく。ご指導たまわりたい」と謝罪と決意をのべた。

事件の概要
 2002年3月から、N社の役員や社員にたいする誹誇中傷や、取引先を中傷しN社社員の配置転換を脅迫するなどのメールがN社内や取引先に繰り返し送信されはじめる。
 同年10月、大阪府連の支部や兵庫の関係機関など4か所のホームページに差別メールが送られてきたことが事件の発端となった。メールには「N社(株)は大阪部落民を差別する会に加盟しています。以下のエタ・非人の可能性が高い住所にお住まいの下僕民の差別を推奨します」と、大阪の被差別部落の地名が40か所も書かれていた。
 送信者はN社の代表取締役名になっており、N社の所在地、ホームページアドレスも記載されていた。犯人はN社の代表取締役に「なりすまして」差別メールを送信していた。
 2003年4月、さらにN社の取引先であるW銀行の偽のホームページをN社が発見。Sが作ったそのホームページには「(部落民は)人に非ず。死あるのみ」「部落への融資お断り」と表記し被差別部落の地名が掲載されていた。
 同年4月11日、N社社員のSが逮捕され、5月に営業妨害の刑が確定。N社はSを懲戒解雇。これまでの確認会でSは人事面での不満から会社に恨みを抱き、メールで同僚や顧客への中傷メールを繰り返し、その後「部落差別を利用すれば会社が抗議を受ける」と思い犯行にいたった、とのべている。
 N社は当初、行政や部落解放同盟と協力し事件解決に向けとりくんでいたが、大阪府連に犯人逮捕の連絡が入ったのは10か月以上経った2004年3月末だった。

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