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部落問題資料室
NEWS & 主張
部落差別を無意識に内面化と
S製薬会社社員差別発言事件で
「解放新聞」(2005.6.13-2222)

 【大阪】S製薬会社社員差別発言事件(2219号既報)の第1回糾弾会を5月20日午後、大阪人権センターでもち大阪府連、大阪同企連関係者200人が参加するなか、S製薬から差別発言をしたAをはじめ、M社長、N人権啓発担当者など4人が出席した。糾弾会では①Aの反省文と今後の決意の提出②社長の名前による差別事件の見解③同和問題・人権問題の基本方針の策定と全職員への周知徹底④職員研修計画の策定と実施⑤大阪市企業人権推進協議会への積極的参加⑥大阪同和・人権問題企業連絡会への加盟と積極的参加を求め、同意した。

発言認め反省

 今回の糾弾会は3回の確認会をふまえてひらかれたもので、①確認をふまえて、Aがみずからの差別性をどうとらえなおしたか②事件を引きおこした背景ともなる社内の人権意識の実態と人権研修の課題③企業の社会的責任として、差別根絶のためにこれからとりくむべきことなど、3点について細かく糺した。
 まず、Aについては確認会のなかで「エタ、ヒニンという発言と部落との関係がわからなかった」という発言から、これまでの生い立ちをふりかえるなかで、「部落差別は根深く、無意識に内面化していた」とのべた。
 Aは経営基幹職にあり、職員採用の面接も担っている。「部落の青年が面接のとき、(部落差別によって不採用となるのを)どれほどの緊張でおそれているか」と、いまも差別と直面する青年が存在する発言に深くうなだれた。「自分自身が(部落問題に)かかわりさえしなければすむ問題だと思っていた。これからは積極的にかかわる」と、差別に加担していた自分を語った。
 社内の人権研修については、この事件が外部から府連の支部、関係団体に投書があったことから発覚し、内部の自浄作用として出なかった点、Aが14年間の会社づとめのなかで1度だけしか人権研修を受けていなかった点、事件が発覚し、「告発者」があたかもよけいなことをしたかのようにいわれているのではという点など深く聞いた。
 とくに「統一応募用紙」について、AとN人権啓発担当者から「知らない」という返答があり、「この事件はおこるべきしておこった事件」と厳しく言及した。
 S製薬は市内の企業が部落差別をなくすことを目的とした大阪市企業人権協議会の幹事企業であり、人権問題について深くかかわる姿勢を示していた企業。その企業からこのような事件がおこったということは、内部への働きかけが弱かったことが露呈したもの。
 社長は「企業の社会的責任をはたしていきたい。形骸化している人権研修などを見直し、もう一度人権を尊重した会社をつくる」と約束した。

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